【伊勢孝夫「新IDアナライザー」】ヤクルトはかつて在籍したチームだし、コーチとして指導した教え子もいる。頑張ってもらいたいが、沖縄・浦添キャンプを見た限り「Aクラスに行けますよ」とはなかなか言えない。

 真中監督は「ピッチャーを整備したい」と話したが、確かに投手陣が不安。7つくらい貯金ができる核となる先発投手がいれば、まず6連敗、7連敗といった大型連敗はない。そんな投手が左右2枚いれば、これはもう最高。そうなると指揮官も腹の中で勝ち星の計算もできる。しかし、その核が一人もおらん。

 小川、石川、館山らにそこまで期待するのは酷。ルーキに加えて新たにデービッド・ブキャナン(27=前フィリーズ3A)、ロス・オーレンドルフ(34=前レッズ)、プレストン・ギルメット(29=前タイガース3A)と3人の外国人投手を獲ったのも、投手陣に不安があるからこそ。ただどこまでやれるのか…。指揮官は一塁手の新外国人・ディーン・グリーン(27=前タイガース3A)との外国人枠の「選択が難しい」とも漏らしていた。

 一方で明るい材料はドラフト2位右腕の星知弥(22=明大)。真中監督も「ちょっと楽しみ」と期待していた。何でも栃木県の実家が歩いて数分の同郷だとか。何とか指揮官に力になってもらいたい。

 打線はパッと見るといいが、実際はなかなか厳しい。中でも腰のヘルニアを発症した川端は大きな戦力ダウンだ。真中監督も「(川端)慎吾が痛い」と嘆いていた。本人とも話をしたが、今シーズンはメスは入れたくないらしい。だましだましやるそうだが、いつ発症するか分からない状態では使う立場としては難しい。「あのとき手術しておけば良かった」となることだけは絶対に避けなければいけないからだ。

 といって川端の代わりになる選手もいない。2年目の広岡がキャンプで少し騒がれたが、真中監督によると「ローテーション投手の速い真っすぐには厳しい」とまだ時間がかかるという。打線が打って勝つチーム。山田とバレンティンには今まで以上に重責がのしかかる。バレンティンは緩慢な守備と二塁からヒットでかえってこられない走塁などマイナス部分が多い。最低でも40本は打ってくれないと使う意味がない。(本紙評論家)