【WBC侍ジャパンドキュメント2017(2月28日)】侍ジャパンのエース菅野智之投手(27)が27日、福岡への移動前に宮崎の合宿地で満を持してブルペン入りした。小久保監督らが見守るなか、実戦想定の60球。圧巻の投球を、本紙取材班の堀江は巨人担当として誇らしい思いで見つめていた。

 投げ込んだのは直球、スライダーを中心に、習得中のチェンジアップを含めた全球種だ。抜群の仕上がりに、権藤投手コーチは「ものが違う。あれだけ球が来ていたら(前には)飛ばんよ」。菅野本人も手応えは十分。「やってきたことを継続してやりました。(今後は)自主トレからやってきたものを試合に出すだけ」と力強く言い切った。

 万全を超える仕上がりに、権藤コーチからは「あれだけの球は打てない。ファウルで球数が増える。完璧主義者だからね。『そこまで求めなくてもいいから』と言った」と異例のアドバイスも飛んだ。球数を減らすため、あえて甘く投げよとの指示だ。ただ、その言葉を聞きながらも、堀江は心の中では「菅野にそれを言ってもきっと無駄ですよ」とつぶやいていた。

 菅野の反応は予想通り。「いざという時に役立つし、腹がくくれる」と権藤コーチに感謝を述べつつ「ただ、僕も今までやってきたものがあるので」とキッパリ。それよりも唯一の気がかりは、この日2球しか投じなかった新球チェンジアップを武器に選ぶのかどうかだ。肝心の打者の反応を実戦で試したのは、まだ1度しかない。

 菅野にとっては、1日の台湾リーグ選抜戦が本番前の最終調整の場となる。「球種をチェックするなら、スタンドよりテレビ観戦かな…」。堀江は宮崎発福岡行きのプロペラ機に揺られながら、2日後の試合に思いをはせていた。