第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表の巨人・菅野智之投手(27)が22日、楽天との練習試合(那覇)に先発し3回を1安打、無失点に抑えた。侍ジャパンでは二刀流・大谷翔平投手(22=日本ハム)の欠場により、大黒柱としての活躍が期待される右腕を本紙評論家の前田幸長氏が分析した。現状の仕上がり具合はどうなのか。大谷との“ダブルエース”が消滅した現実をどう受け止めるべきか――。

 菅野は初回先頭の茂木にこそカウント3ボールとしたが、落ち着いてフルカウントまで持ち込むと最後は内角へのスライダーで一ゴロ。その後も新球のチェンジアップも織り交ぜながら凡打の山を築き、二塁も踏ませずに3イニングを33球で終わらせた。

 菅野は「思い描いた通りに投げられた。立ち上がりはバタついたが、修正できたし、いいスタートが切れた」と納得の表情。代表戦で設けられる球数制限を想定し、この日の目安とした「40球」も下回り「今までやってきたことが、そのまま試合でできて良かった」と自信を深めた。

 菅野はこの日を最後にバッテリーを組んだ小林とともに代表強化合宿に合流。由伸監督は「僕からしたら特別良くもないと思うけど、こちらがどうこう言う選手じゃない」と力強い言葉で送り出した。

 では、右腕の投球を前田氏はどう見たのか。「さすがという球と、らしくない球があった。立ち上がりにボールが3つというのはらしくなかった」としたが「久しぶりの実戦マウンド。これから球速はもっと出てくるだろうし、今日は試運転だったと思う。それでも、ゼロで抑えたところはさすがだと思う」とした。

 代表では大谷が右足首の故障でメンバーから外れた。菅野は一人エースとしていっそうの重圧を背負うことになる。これが菅野にとってプラスに働くのかどうか…。

「日本代表にとって大谷がいなくなったことは確かに痛いが、菅野本人には今後の彼の野球人生においてステップアップどころか、ジャンプアップできるビッグチャンスになるのではないか。代表に選ばれたということは“野球の神様”に選ばれた人間ということ。過去のWBCでMVPを獲得した松坂、上原や岩隈たちと同等の投球ができるのではないか」(前田氏)

 逆境をバネに、菅野は侍ジャパンを世界一へと導いていけるか。