【赤ペン!!赤坂英一】今年の広島キャンプはろくなことがない。先発復帰が期待される大瀬良が右脇腹の違和感で一軍から外れたと思ったら、守護神・中崎と二軍捕手・中村亘がインフルエンザで隔離。さらにはチームスタッフ10人が宿舎の食事が原因とみられる食中毒などで体調を崩した。

 ただでさえ、今年の広島は“黒田ロス”という大きなハンディを抱えている。昨季までの2年で21勝(16敗)という数字に収まらない精神的支柱、黒田が引退した穴は簡単に埋められるものではない。畝投手コーチもこう漏らしていた。

「今年は、開幕したら、ああ、黒田がおらん、と感じることもきっとあるじゃろう。黒田がチームに合流するのはキャンプの後半からやったから、いまはそんなに感じないけどね。いざ、戦いの場になったら、われわれも穴の大きさを実感すると思うよ。やっぱり、あれだけの存在やったから」

 その黒田が抜けた投手陣については、「当たり前のことやけど、去年の2本柱、最多勝(16勝)の野村、沢村賞のジョンソン(15勝)にきちんと調整してもらうことが大前提や」と畝コーチは強調する。「2年連続で去年並みの数字を挙げられるかどうか。当然、今年は研究もされるやろうから」というのだ。

 大瀬良の先発復帰にも黄信号がつきそうな今、慶大から入ったドラフト1位右腕・加藤の存在も気にかかる。フリー打撃やシート打撃では鈴木のバットを折るなど、主力打者を球威で押す場面も見られたが、畝コーチの評価はどうなのだろう。

「真っすぐには確かに力がある。空振りを取れる球もある。しかし、課題はコントロール。現状ではストライクとボールがはっきりし過ぎとるからね。どんな投球ができるのか、もっと実戦形式で投げさせてみて、使い方を考えるのはそれから」

 そんな加藤には、ちょっと珍しいエピソードが一つ。日南キャンプ中、慶大野球部マネジャーだった川合真帆さんが、加藤の激励に訪れていたのだ。彼女のほうは今春から巨人に就職、ファン事業部に配属されることが内定している。加藤が一軍メンバーに入れば、東京ドームでの巨人―広島戦でまた再会する機会もあるかもしれない。

 昨年の新人・岡田も、西武とのオープン戦では5失点と散々だったが、緒方監督の我慢が実って4勝を挙げている。今年もまたカープの“育てる力”に期待したい。