オリックスがWBCでの平野佳寿投手(32)の起用法をめぐって困惑している。5日、侍ジャパンの小久保裕紀監督が権藤投手コーチらとオリックスのキャンプ地・宮崎を訪問。抑え候補の一人である平野のブルペン投球を視察した。

 ところが、視察後も守護神を明言しなかったばかりか、平野について「本来(オリックスでは)抑えをやっているが、7回ぐらいのピンチとか、回またぎの8回が一番力を発揮できる」と中継ぎ起用を示唆。そのうえで、「(守護神を)1人に決めないで、本番前の実戦5試合の状況を見極める」と大会直前まで抑えを決めない方針を示した。

 これに対してチーム関係者は不安を隠せず「このままじゃ、WBCの救援陣はみな共倒れの可能性があるよ」とポツリ。現在の抑え候補は平野を筆頭に松井裕(楽天)、秋吉(ヤクルト)、牧田(西武)らだが、誰一人役割分担を明確に言い渡されていない。そのため「これでは救援陣は不安が募るばかりで、今後の調整にも影響が及ぶはず。各選手の体調管理を任されている球団トレーナーも選手の調整に戦々恐々だろう。みんな小久保監督の決断力に惑わされ続けている」(同)というのだ。

 この日の練習後、平野は「(抑えには)あまりこだわりはない。クローザーをやらしてほしいとは言わない」と大人の対応で話したが、早くも周囲では「抑えで起用しないのならなぜ平野を代表に選んだのか」という声も上がるほど。混迷する侍ジャパンの「守護神問題」。チーム浮沈の致命傷にならなければいいが…。