ソフトバンクから巨人にFA移籍した森福允彦投手(30)が30日、新天地で初めてブルペン入りした。目前に控えるキャンプインに向けて感触は上々で「例年よりいい」と言う。期待されるのは救援陣の勝ちパターンに加わることだが、それだけではない。実は大のプロレス好きで、チーム内に潜む“隠れプロレスファン”とともに新風を呼び込みそうだ。

 左の変則サイドスローが周囲の視線をくぎ付けにした。木の花ドーム(室内練習場)内のブルペンに入ると、坂本や長野が食い入るように見つめ、阿部もわずかながら球筋をチェック。投球練習の途中からは捕手役が小林に代わり、最終的には座らせた状態で投げた。

 ブルペンでの投球は昨年11月以来だが、ここまでの調整は順調そのもの。「今日は傾斜で投げたかった。(捕手を)座らせるつもりはなかったけど、感触が良かったので低めに強めに投げた。少なからず例年よりいい」と頬を緩めた。好調の要因は、60試合登板で防御率1・13をマークした2011年ごろの映像と照らし合わせ「(フォームを)昔の良かった時に近づけた」こと。この日で合同自主トレが終了し、あとはキャンプインを待つばかりとなった。

 森福に求められる役割は昨季のウイークポイントだった救援陣の不安を取り除くことだが、ナインからはグラウンド外での活躍も期待される。森福は球界でも珍しくプロレス好きを公言し、特にドラゴンゲートは大のお気に入り。中でも“スピードスター”吉野正人とは親交が深く、会場まで足を運んで食事を共にする間柄。「CIMAさんやYAMATOさん、(堀口)元気さんたちとも仲がいいですよ」と言い「H.A.Gee.Mee!!」とファン以外には分からないであろう堀口への“応援歌”を口ずさむほどだ。

 プロレスにのめり込んだきっかけは、幼少期に新日本プロレスのビデオで見た華麗な空中殺法。「小学生のころはゲームで(米団体の)WWEをやっていました。トリプルHとかザ・ロックとかアンダーテイカーとか」と、スラスラとリングネームが挙がる。

 筋金入りのファンだけに一部のG戦士は興味津々だ。投手陣からは「レスラーとご飯に行けるなんてすごい。僕らの中にも結構プロレスファンはいるんですけど、何となく表立っては言いづらい雰囲気があって…。プロレストークしたいですね」と、早くも羨望のまなざしが向けられている。

 こうなると、巨人内に森福を中心とした“プロレスサークル”が誕生しそうな気配。本人にとっても、バトル談議が周囲との距離を一気に縮める強力な武器になりそうだ。