巨人の小林誠司捕手(27)が22日、ジャイアンツ球場で自主トレを行った。ベテラン・阿部慎之助内野手(37)とのグアム自主トレから20日に帰国したばかりだが、その間の出来事がチーム内では物議を醸していた。今季で4年目の後輩・小林の頭髪にバリカンを入れた阿部の今後についてで、背番号10からの若手離れが危惧されているのだ。

 南国での自主トレで真っ黒に日焼けした小林はこの日、G球場で右腕・菅野と再会。久しぶりに同級生同士でキャッチボールすると、立った状態のまま距離を縮めてチェンジアップを初めてミットで受け止めた。WBCを含め、今後の新兵器となり得る新球について小林は「すごくいい感じ。直球と同じフォーム、腕の振りで回転もすごくよかった」と捕手目線で感想を語り「(菅野)智之は常に向上心を持っている。そういう姿勢はすごいと思う」と同学年エースの意識の高さに改めて舌を巻いた。

 とはいえ、小林もステップアップしようと必死にもがいてきた。昨季129試合出場ながら首脳陣から正捕手と認められず、年明けからの自主トレでは初めて阿部に弟子入り。捕手としてだけではなく、打撃面でもマンツーマンでたくさんの指導を受けた。それだけに今季は「打って守れる捕手」への飛躍が期待されるが、ある“儀式”には物言いもついた。

 そもそも小林はグアムに旅立つ前から阿部にバリカン持参を言い渡され、自ら頭を丸めて気合を注入。その後、現地で髪が伸びると阿部に頭頂部付近を残して下半分を超短く刈り上げてもらい、米兵などによく見られる通称「GIカット」に変身した。これが海を渡り、チームも知るところとなると、驚きとともに波紋が広がった。

「さすがにあの頭はどうなのか…」と眉をひそめたチームスタッフは「小林の場合は納得した上でのことだろうから気にならないでしょうが、(阿部)慎之助にはもったいないこと。若手たちが慎之助から学ぼうと思っても、髪を刈られるとなればどうしても二の足を踏んでしまう」と今後の関係性を憂いた。

 言うまでもなく、常勝軍団を大黒柱として支えてきた阿部の経験はかけがえのない財産。それが過激な丸刈りによってホープたちを萎縮させ、せっかくの知識を伝えられなくなってしまえば、チームにとっても不幸な話となりかねない。

 もっとも小林の頭髪は伸び、上下の境目は見極めづらくなってきているが…。阿部と若手との距離が生まれることは避けたいところだ。