4年総額18億円(推定)でオリックスからFA移籍の阪神・糸井嘉男外野手(35)に虎の大物OB・江夏豊氏(68)が強力エールを送った。新天地での活躍に太鼓判を押したばかりか、球界でささやかれる「契約条件が高すぎる」との冷ややかな声にも「そんなことはない!」と反論。糸井にとっても発奮材料になりそうだ。

 勝負の2年目となる金本監督が自ら獲得を希望し、本社の全面協力で獲得が決まった糸井。V奪回のキーマンは「自分が来て(阪神が)弱くなったって言われたら嫌。皆さんに来てもらってよかったって思われるように努力したい」「金本監督を胴上げするため必死になって頑張りたい」など腕をぶしているが、球団OBも大きな期待を寄せている。歯に衣着せぬ物言いで虎を叱咤激励してきた“元祖一匹狼”江夏氏だ。「彼は打つだけじゃなく、肩もいいし、守備もいいし、走ることもできる。これまで通りやってくれれば貢献度は大きい」。実力を認めた上で移籍1年目からの活躍に太鼓判を押した。

 今回の糸井の阪神入りには球界から様々な意見が噴出。昨年は盗塁王を獲得するなど衰え知らずの糸井だが、今年、7月31日で36歳になる年齢もあって「4年契約は長すぎる」や「ヒザに古傷があることを考えれば、2年3億円がいいところで適正価格とは言い難い」と厳しい見方もされ、揚げ句は「阪神は我慢してでも生え抜きを重用するスタンスを貫くべきだった」と補強そのものを疑問視する声も…。

 糸井にとっては余計なお世話ばかりだが、これらについても江夏氏は大反論。「良い時も悪い時もあるだろうが、胸を張ってプレーしてほしい。4年18億という契約は彼のこれまでの実績に対する評価。俺は高いとは思わない。我々の時代やひと昔前ならビックリする額なんやろうけど、今の時代、すごい給料をもらっている選手は他にもいっぱいいる。変に意識する必要はない」とピシャリだ。

 阪神では過去、FA選手で成功した例は金本監督ただ一人。昨年の広島優勝に貢献した新井でも人気球団の重圧に押しつぶされたほどだった。そんな中、偉大なOBから「18億円の男」として認められた糸井。勇気百倍とはこのことだろう。