【赤坂英一「赤ペン!!」】昨年来、巨人の大補強に対する批判が、かまびすしい。著名な巨人OBや有識者がかみついているのみならず、球団事務所に抗議電話をかけてくるファンも少なくないそうだ。「このオフは会社で電話を取るのが怖かったですよ」と漏らしている球団関係者もいるほど。

 しかし、勝ちさえすれば万々歳、よくぞ補強を断行した、と手のひらを返したようにホメられるのが巨人である。1994年の落合、2000年の工藤と江藤、最近では12年の杉内と村田など、誰も彼も優勝した途端に「よくやってくれた」と絶賛された。この世界、結果がすべてだから。

 では、今年の補強戦力は、しっかり貢献できるのか。FA組を見渡すと、山口俊は先発としては昨季の11勝が自己最高、陽岱鋼は一度も打率3割に達したことがなく、森福はリリーフ投手だから活躍の場が限られる。要するに、合計金額こそ“大補強”だが、これまでのようにチームをけん引するほどの大暴れは期待できない。

 そんな補強戦力で最大のカギを握るのは、抑え候補の新外国人カミネロだろう。この193センチ、111キロの巨漢に新たな守護神が務まるかどうかに、巨人の浮沈がかかっていると言ってもいい。

 昨季は後半戦に入り、抑えの澤村が痛いところで火消しに失敗。特に8月の首位広島との直接対決で、2度も逆転負けを喫したことが最後まで響いた。澤村はCSファーストステージの初戦でも失点し、高橋監督は2戦目で中継ぎのマシソンに9回続投を指示。「もし澤村が打たれなかったら日本シリーズに行けたはず」という声は、まだチーム内にくすぶっている。キャンプでは表向き、守護神の座はカミネロと澤村の競争になろうが、首脳陣としては頼りになるならカミネロを固定したい、というのが本音だろう。もっとも、巨人でクローザーを務めた外国人というと、マリオ、シコースキー、アルバラデホ、ロメロなど失敗例が多いのが気がかり。クルーンは3年間安定した成績を残したものの、新外国人ではなく横浜(現DeNA)から引き抜いた投手だった。そのクルーンにしても、時に乱れることがあり、当時の原監督は中継ぎの山口鉄を最後まで続投させたりした。

 カミネロが入団1年目でセーブ王並みの働きをすれば、間違いなく球団史上に残る超優良助っ人になる。由伸巨人2年目のひそかな見どころだ。