2年目を迎えた巨人・高橋由伸監督(41)が独自色を打ち出した。15日、ジャイアンツ球場で春季キャンプに向けたコーチ会議が行われ、本隊と離れて自主調整する「S(スペシャル)班」を“廃止”することを決定。阿部慎之助(37)をはじめ、ベテランも例外を認めないとした。この背景には自らの目で選手たちをチェックしたい指揮官の意向が見え隠れ。さながら“由伸流監視キャンプ”となりそうだ。

 この日、由伸監督ら首脳陣はコーチ会議で今キャンプの概要を確認した。指揮官が明らかにしたもののうち、新人選手たちについては「いろんなものを含めて球団の方針」と全員二軍スタートを明言。ドラ1・吉川尚(中京学院大)がコンディション不良で先行き不透明となったことや、今オフの巨大補強で限られた一軍枠が大幅に狭まったことなどが要因のようだ。

 さらに由伸監督は紅白戦を宮崎キャンプ中に2試合実施する考えなどを明かしたが、話題が「S班」に及んだ瞬間、質問を遮るように「それはないです」と語気を強め「一、二、三軍しかないです」と続けた。

 昨年のキャンプでは阿部ら一部のベテランの体調に配慮して独自調整を認めたが、今年は違う。村田真ヘッドコーチも「(練習メニューなどに)幅はあるけど、一緒にやらせようと思う」と特別扱いはしない。その裏には1年前の“反省”がある。チームスタッフは指揮官の胸中をこう代弁する。「去年は監督もある程度は慎之助の自主性に任せたところもあったけど、結果的には(右肩痛で)開幕どころか大幅に出遅れた。本人に任せて“失敗”したわけだから、目の届くところに置いてチームと一緒に練習させるということでしょう」

 キャンプでは阿部だけでなく、右股関節手術からの復活へ慎重な調整が求められる杉内も一軍に同行することが濃厚。WBCで代表入りが決まっている坂本と菅野についても由伸監督は「(代表合宿に参加する)直前まで一軍に帯同させる予定です」とキッパリ。そこかしこに自分の目で見て状況を確かめたいとの思いが見え隠れする。

 2年目の指揮を執る由伸監督はナインを徹底した“監視下”に置き、V奪回へ戦力を見極めていく。