エースの座は自力で射止める。広島の野村祐輔投手(27)が13日、東京・府中市の明大グラウンドでの自主トレを公開した。昨季は最多勝&最高勝率の2冠で25年ぶりのリーグ優勝に貢献。黒田博樹氏が抜けた今季は投手陣の大黒柱として期待される。本人もその気になっているが、原動力の一つになっているのは、昨年末の大舞台でのある屈辱だ。

 新たに投手陣のキャプテンを務める野村は「イニング数」を重視すると言い「完投だったり、そういうところを増やしていかないと。もっと体を強くすることと技ですかね。投球の引き出しを増やして、任せてもらえる投手になりたい」と意気込みを口にした。

 昨季はキャリアハイの16勝を挙げたものの、完投数はわずか1。投球回数も152回2/3にとどまり、試合終盤をリリーフ陣に委ねることが多かった。ポスト黒田としてチームを背負うには寂しい数字だった。それに加えて野村が奮い立っているのは昨年のNPBアワーズで経験した恥ずかしい思いを二度としたくないとの決意があるからだ。

 僚友のジョンソンが沢村賞に選ばれたものの、すでに本人は米国へ帰国していたため、NPBアワーズは欠席した。授賞式では球団関係者に促される形で野村が代理で壇上へ。そのときのことを右腕は「恥ずかしかったですよ。自分が取ったわけでもないのに『おめでとうございます』とか言われて」と振り返り「沢村賞は先発投手なら誰もが憧れる、栄誉ある賞。すべての面でレベルアップして、いずれは正式に受賞したい」と雪辱に燃えているわけだ。

 昨季は沢村賞の条件に完投数、規定投球回数、防御率などで及ばなかった。エースとしての働きを求められる今季の野村は相手打者だけでなく、自チームの投手にも負けないつもりだ。