巨人は日本ハムからFA宣言した陽岱鋼外野手(29)と契約合意し、野手の大型補強を完了した。球団が本腰を入れてチームの弱点を徹底的に穴埋めした一方で、そのあおりをモロに受けそうなのが将来の4番候補・岡本和真内野手(20)だ。来季は出場機会すら危ぶまれているが、当の本人にはレギュラー奪取へ“秘策”があるという。それは――。

 今オフを席巻した巨人の特大補強も大詰めを迎えた。V奪回へ、球団は浮き彫りとなったウイークポイントをことごとく潰し、FAで山口俊(前DeNA)や森福(前ソフトバンク)を獲得するなど投手陣の戦力を強化。野手では一、三塁をこなせる強打のマギー(前タイガース)が加わる一方、今季7人が守るなど固定できなかった中堅を陽岱鋼で埋めた。

 隙のない大補強を敢行した半面、苦しい立場に置かれる選手も少なくない。その最たる例は岡本だろう。本職とする三塁には今季、チーム唯一の全試合スタメン出場を果たした村田がおり、一塁にも阿部がいる。そこへマギーが加入し、ますます層が厚くなった。そこで由伸監督はじめ首脳陣は、岡本の可能性を広げるため外野にも挑戦させる方針を固めてはいるが、こちらの道も険しい。中堅には陽岱鋼、右翼は長野が控え、残るは左翼。ただ、ここにも今季24本塁打のギャレットにベテランの亀井…と乗り越えるべき壁は高い。

 レギュラー取りに試練だらけの岡本だが、激動の事態を傍観しているわけではなかった。チームスタッフは「岡本は実はオフに歯を矯正するそうです。それもあるので、グアムの自主トレには行きません。すでにサカチョーにも断りを入れて“許可”をもらっています」と明かした。

 今年1月の自主トレでは坂本、長野らに弟子入りして打撃や守備の技術を学んだが、今オフの参加は見送り。一般的に歯列矯正すると体全体の筋肉や骨格のバランスが整い、運動能力のパフォーマンスを向上させると言われている。あるコーチも岡本の選択に「野球選手にとっても歯のかみ合わせは大事なこと。やらないよりはやったほうがいいし、やれる時にやるべき」とうなずいていた。

 現在、岡本は日本を離れてプエルトリコで開催中のウインターリーグで武者修行中。帰国後にまずは歯並びを整え、持てる能力を最大限に引き出して、シ烈な競争に飛び込んでいく。