【NPBアワーズ】本人も「まさか」のMVP 広島・新井39歳の焦り

2016年11月29日 16時30分

パ・リーグMVPの大谷(左)と握手をかわす新井。今季の顔はこの2人だ

 プロ野球のNPBアワーズが28日、都内のホテルで開かれ、緒方孝市監督(47)、今季限りで現役を引退した黒田博樹氏(41)を含む8人もの赤ヘル戦士が登壇した(沢村賞のジョンソンは欠席)。なかでも喝采を浴びたのが、プロ18年目で最優秀選手(MVP)に初選出された新井貴浩(39)。1988年、40歳で受賞した門田博光氏(南海)に続く2位の年長記録となった。通算2000安打に300本塁打、25年ぶりの優勝に日本シリーズと実りの多い1年と言えそうだが、その半面ある「焦り」も生じているという。

 

 ステージの中央に立った新井は「黒田さんには『思い切りガッツポーズして出て行け』と言われた。今季は『まさか』と言われ続けて、最後にまさかこのような賞がもらえるとは」と笑いを誘いつつも誇らしげな表情だった。

 

 打率3割、19本塁打、101打点。4月26日のヤクルト戦で通算2000安打、8月2日のヤクルト戦では通算300本塁打を達成した。2連敗で迎え、負ければ2位巨人に3・5ゲーム差まで迫られるという状況下での8月7日の首位攻防戦で執念のサヨナラ打を放つなど、数字はもちろん勝負強い打撃で優勝をけん引。2010年の和田(中日)の38歳を抜き、セ・リーグ最年長での受賞となった。

 

 ガッツポーズは「取らせてもらった賞」だからと自粛したが「最高のチームメート、ファンに取らせてもらった。年はいってますけど、がむしゃらに泥だらけになってやろうと思った」と笑顔交じりに振り返った。

 

 ただ、喜んでばかりもいられない。MVPのみならず、今季はリーグ優勝に日本シリーズと“初体験”だらけで、そのため生じたある事情に戸惑いもある。

 

 ポストシーズンを戦い抜き、シーズン終了は昨年より3週間ほど遅くなった。その分練習に割く時間が減り「正直焦っている」と告白する。優勝旅行も控えており「ただでさえトレーニングする時間も短くなるからね。『ここでトレーニングできるな』という時間を見てやっているつもりだけど…」と、つぶやく。

 

 8日から行われた秋季キャンプは免除となったが、広島市内のジムで筋力トレを中心に行ってきた。「ガンガンやってきた。全身バキバキ」と話すが「去年以上にやるというのは物理的に無理」と期間の短さに歯がゆさもある。

 

 短時間にメニューを詰め込むことも可能なのかもしれないが、それは非効率だという。筋トレの場合、トレーニング後、1~2日程度休息を取ることにより「超回復」が起き、筋肉の総量が練習前より増加するからだ。

 

「しっかり休んで、またバッとやってというのが理想」だが、優勝旅行後もイベントやテレビ出演などのオファーが殺到することは確実。悩ましい日々が続く。

 

「来年できるという保証はない。もう1つ年を取るわけだし」と少し弱気な発言もこぼす。この危機感が、来季のパワーに転換されることを期待したい。