巨人・坂本勇人内野手(27)が24日、東京・大手町の球団事務所で契約更改交渉に臨み、1億円増の3億5000万円でサインした。今季は首位打者のタイトルを獲得するなど大活躍。年俸額で現時点でチームトップに立ち、名実ともに「巨人の顔」となった。ただ、主将としては試行錯誤の日々。その坂本に主将の座を託した前主将の阿部慎之助捕手(37)が下した“評価”は――。

 プロ10年目の今季はまさに飛躍の年となった。昨オフに年俸変動制の複数年契約を結んでいる坂本は今季、出場137試合でリーグトップの打率3割4分4厘で23本塁打、75打点をマーク。守っては初のゴールデン・グラブ賞受賞と攻守にわたってチームをけん引した。交渉の席で堤GMから「今年に関しては文句ない。よく頑張ってくれた」とねぎらわれたという坂本は「個人的には納得がいく数字を出せた。高いお給料をもらうので、もっともっと頑張らないといけない」と1億円アップにニッコリだった。

 だが、チームは2年連続でV逸しているだけに「(優勝した広島と)十何試合(17・5ゲーム)も差が開いて、力の差を感じたシーズン。もっと選手個々がレベルアップしていかないといけない」と危機感もにじませた。

 一方、プレーヤー以外のところではどうだったのか。主将2年目を終えたことについて「主将らしいことで何をしたのか分からない。まだまだ未熟だと感じている。難しい。主将としてどうしたらいいのか、今でも考えながらやっている」と苦悩を明かした。そんな“悩める主将”を後任に指名したのは阿部だ。

 くしくも阿部はこの日、6600万円減の2億6000万円で更改。年俸で初めて坂本に上回られた。では、その阿部の目に坂本はどう映っていたのか。2007年から主将を務めた経験から「やっぱり自分の成績が出ないと、言おうと思ってもなかなか言えるものじゃないよ」と坂本の心中を察しつつ「いや、もう今年は成績で引っ張ったから十分じゃないかな」と若きキャプテンに太鼓判を押した。

 裏を返せば、坂本はキャリアハイの成績を残したことで、来シーズンは気兼ねなく物申せるということだ。今季は二軍でくすぶる大砲候補の岡本に「二軍でいくら打ってもカネにならへんぞ!」、昨年のドラ1桜井には「いつまで休んでんねん!」と強烈なカツを入れる場面もあった坂本。主将3年目の来季、坂本がちゅうちょする必要はない。