伊勢氏が語る阪神入り糸井“V請負人のノルマ”

2016年11月23日 16時30分

糸井には優勝請負人として相当な期待がかかっている

 阪神へのFA移籍が決まった糸井嘉男外野手(35)は来季、どんな活躍を見せてくれるか。虎党の誰もが早くも大きな期待を抱いている中、ヤクルト、巨人などでコーチを務めた本紙評論家の伊勢孝夫氏は合格点をハイレベルに設定。さらに、かつて日本ハムから巨人にFA移籍し「優勝請負人」となった小笠原道大(現中日二軍監督)のようになれるか、をポイントに挙げた。

 

【伊勢孝夫 新IDアナライザー】阪神にとって糸井獲得はこれ以上ない補強だ。打って良し、守って良し、走って良し。身体能力の高さからも大暴れすると断言できる。金本監督は自身も経験がある打率3割、30本塁打、30盗塁のトリプルスリーを狙えると太鼓判を押していたが社交辞令ではない。むしろ、糸井にとってその偉業は最低限のノルマ。打率3割3分、30本塁打、盗塁も今年並みの50盗塁は決めてほしいところだ。甲子園が天然芝だけに不安視されている左ヒザも大丈夫だろう。4年総額18億円(推定)という巨額な契約を交わしたからにはそれだけの結果を求められる。でも、糸井はそれをクリアできるポテンシャルを秘めている。

 

 成績以上に注目したいのが糸井が「かつての小笠原のようになれるか」だ。私が巨人にいた2007年に日本ハムからFAで加入した小笠原。パ・リーグから球界の盟主である巨人への移籍。本人はとてつもないプレッシャーを背負っていたはずだが、攻守に見事な活躍ぶりでチームの5年ぶりのリーグVに貢献し、MVPに輝いた。その時、何よりもチームの財産になったのが小笠原の練習に対する姿勢だった。

 

 ベテランながら休みも返上して練習。ときには伸び悩む若手を試合後に居残りさせて、ともに汗を流すというリーダーシップを発揮。そうしたストイックな部分はそれまでの巨人にないものだった。野球に対する貪欲な姿勢や結果で周囲を認めさせたのが小笠原で、阿部なども感化された選手の一人だ。今年の阪神は金本監督が若手を積極起用してきただけに今回のFA補強に対して否定的な意見もあるかもしれない。しかし、糸井が小笠原のように伸び盛りの若手のよき見本となることができれば、総額18億円でも「いい買い物だった」と感謝されることになる。

 

 打順は3番を推す。足が使えるだけに「攻撃的2番」も魅力的だが、そうなれば3番に糸井以上の打者を置く必要がある。現時点でそんな好打者は不在。3番でポイントゲッターを任せるのがベストだ。初めてのセ・リーグ、阪神ファンの熱狂度やマスコミの注目度に最初は驚くかもしれないが、糸井の古巣の日本ハム関係者に聞くと「とことん前向きな性格でそうしたプレッシャーに負けるようなタマではない」と反論していた。投手レベルに関してはパ・リーグのほうがセよりも一枚上。日本ハム・大谷やソフトバンク・武田、千賀を相手に3割をマークしてきた糸井だけに、打率に関しては14年にマークした自己最高の3割3分1厘を更新する可能性さえあると思う。(本紙評論家)