【赤ペン!!赤坂英一 特別編】今季は優勝した広島に17.5ゲームも離された屈辱のV逸で、ポストシーズンでも惨敗した巨人が、宮崎秋季キャンプで捲土重来を期している。そんな中、残留が決まった村田真一ヘッドコーチ(52)を、本紙連載「赤ペン!」でおなじみの赤坂英一氏が独占直撃。巨人はどう変わろうとしているのか。終戦直後に漏らした辞意の真意もあわせ、直撃した。

 実は、私はてっきり、村田ヘッドコーチが辞任するものと思っていた。巨人の宮崎秋季キャンプで久しぶりに村田ヘッドと会い、まず確かめたかったのはそのことである。

 悩み抜いた末にヘッドに就任しながら、今季は優勝を逃し、CSでも敗退。その直後に、「休ませてくれへんかとは言うてるんやけどな」と発言したから、ついに辞める覚悟を決めたのかと早合点したのだが。

「いや、あれはね、CSに負けてすぐ、来年どうするんですかって(記者に)聞かれたやろ。そんなん、今シーズンが終わったばかりで、まだ何も考えられへん。ちょっと休ませてよっていう意味で言ったのよ。もう秋季キャンプも始まってんのに、いまごろそんなこと聞かれても困るわな」

 では、秋季キャンプの内容はどう変わったのだろう。昨年は就任直後の高橋監督が「選手個人の力を伸ばしてほしい」と要望して、ひたすら投手は投げ込み、野手は打ち込みに明け暮れたが。

「今年はチームプレーもやってるよ。この2日間は、打撃の練習の最中に走塁練習を取り入れた。今年、優勝した広島にはバンバン走られたやろ。おれらもやっぱり、勝つためにはああいう機動力を使った野球をやらんとイカンわ。そんで、おれから井端(内野守備走塁コーチ)にぶん投げたのよ。走塁に関しては井端に任せた、おまえの好きなようにやれと。監督もそう言うてるから、と」

 走塁だけでなく、打撃練習に関しても、「今年は江藤と二岡に全面的に任せてるんや」という。

「もういつまでもおれらみたいな古い人間が古いやり方でやってる時代やない。もっと若いコーチが考えた新しいやり方で練習してイカンとな」

 そうした練習で目指すのは、次代の主力になり得る若手の育成である。

「今年優勝した広島も、去年のヤクルトも、若い選手が出てきてあれだけのチームになったやろ。ウチももっと若い選手が出てこんと。球団がどういう補強するかわからんけど、外から誰が入ってきてもおまえらがやらんとイカンぞと、おれから選手たちにも言うてる。とくに(阿部)慎之助、(坂本)勇人、(村田)修一、この3人を脅かす若いのが出てこんとね。このキャンプのメンバーだと、立岡、重信、山本あたりか。しかし、打率2割5分以上打ってんのは山本だけやな。立岡も重信ももっと打たないとイカンわ。重信は2割にも届いてないからな」

 巨人再建にかける熱い思いをたっぷりと語ってくれた村田ヘッド。この情熱に応えてくれる若手が何人現れるか、まずは楽しみに見守りたい。