DeNAの山口俊投手(29)が8日、国内FA権を行使する申請書類を提出した。球団初のCS進出を果たしたラミレスDeNAのエース流出が濃厚となったが、その裏には球団社長交代劇が大きく影響していた。

 今季11勝5敗、防御率2・86のチームの勝ち頭となった山口は「チームへの愛着はある。残留したい気持ちも強いが、選手である以上評価も大事にしたい。できるだけ早く納得できる判断ができれば」と涙を流しながら語った。

 今後、DeNAは巨人、中日など山口獲得を狙う球団と条件闘争に突入するが、高田GMは「宣言残留は認めるけど、他球団の評価を聞いてから条件を上げることはない」と断言。

 筒香ら他選手との兼ね合いもあり、推定年俸8000万円の山口にそこまで破格の条件を出すわけにもいかず、劣勢を強いられそうだ。

 そんななか、球団関係者は「高田GMはあの通り頑固な人だし山口も直接、意見を言いづらい。フロントに相談するとなればこれまでは池田(純)前社長がいたけど、10月16日に官僚出身の岡村信悟新社長と交代となった。三原一晃新球団代表もこれまで野球の現場には関わっていなかったし、山口にしてみればフロントの窓口が高田GMだけになってしまった」と、意思疎通を欠く結果が山口のFA宣言を生んだ裏事情を明かした。

 DeNAとしては今季選手会長を務めた山口のチーム愛に訴えるしかない状況だが、その見通しは果てしなく暗い。