【日本シリーズ】石井コーチの不安的中 大谷に勝った広島の「慢心」

2016年10月28日 16時30分

帰りのバスに乗り込んだ緒方監督は憔悴した表情

 広島は日本シリーズ第5戦で9回二死満塁からまさかのサヨナラ満塁アーチを被弾し、1―5で敗戦。日本ハムに王手をかけられた。先発クリス・ジョンソン(32)が6回無失点と好投したが、打線が振るわず敵地でよもやの3連敗。勢いを完全に失った赤ヘルだが、29日から舞台は本拠地マツダスタジアムに移る。地元の熱狂的な声援を背に、逆転Vを目指す。

 

 屈辱的な敗戦で王手をかけられた。1―1で迎えた9回。バトンを継いだ守護神・中崎がまさかの大乱調で二死満塁のピンチを招くと、西川の放った打球は無情にも右翼席へと突き刺さった。まさか、まさかのグランドスラムによるサヨナラ負けに緒方監督は開口一番「(敵地での)3試合とも最後は接戦だったが、今日は本塁打で終わって完全に勢いづかせてしまった」と無念の表情。「何とか点を取れるところで、取れなかった。攻撃の中で、こっちに流れを持って来れなかったのは痛かった」と反省の弁を続けた。

 

 指揮官の指摘通り、この日は拙攻のオンパレードだった。初回こそ相手先発・加藤を攻め立てて鈴木の適時打で1点を先制。2回も乱調モードの加藤に追撃をかけて一死満塁としたが、ここでスイッチした2番手・メンドーサの前に菊池、丸が凡退して追加点を奪えなかった。2回以降は4安打無得点。26日の第4戦も打線がつながりを欠いて振るわず、散発6安打1得点に終わっている。

 

 バットの湿りっぷりが敵地3連敗を生んでしまった。

 

 実はこの日の試合前、石井琢朗打撃コーチがこう漏らしていた。「しんどいね」と口走ると「ウチの打者たちにはどこか『大谷に勝ったんだから、大丈夫だろう』という思いがあるように感じる。だから3戦目、4戦目とやられてしまったんじゃないか。そこなんだよね」

 

 22日の第1戦では重盗を仕掛けて相手先発・大谷からミスを誘い、序盤で先制。さらに2本のソロ本塁打を浴びせて6回3失点で難攻不落の165キロ剛腕を形の上では攻略し、白星を奪った。これが後々、逆に過信を招く“アダ”となってしまった可能性を指摘していたのだ。

 

 さらに石井コーチは「大谷がコンスタントに投げる155から160キロの球を打てたと自分たちでは思っても(3戦目先発の)有原や(4戦目先発の)高梨に差し込まれるような打撃をしている。(問題は)そこなんだよね」と指摘。大谷相手に勝っても、他の投手を攻略できなければ何の意味もないのだ。

 

 とにかく、広島にはもう後がない。第6戦の相手先発は再び大谷が予想される。初心に帰って大谷を打ち崩し、その勢いで連勝するしかないが…。