U-18日本代表監督・小枝守の周到な思考

2016年10月30日 16時30分

U―18日本代表・小枝守監督

【越智正典「ネット裏」】10月18日。U―18アジア大会で優勝した監督小枝守を慕っている男たちが千葉県君津の中野の裏通り「ふじみ寿司」に集まった。夕陽がキレイな日だった。「木更津では派手になる。君津にしましょう」。世話役は拓大紅陵、小枝の後任の人望監督沢村史朗。会費は5000円。質素でよい。

 

 始まるのは18時。30分前に、千葉県稲毛から敬愛学園監督古橋富洋が車を運転。来年のカナダでの大会は8月30日開幕と、いまから出陣式のように言っている千葉県立千葉東高監督飯生龍也と、明治大先輩、ふだんは黙っているが智謀の男、村山忠三郎を乗せて店の駐車場に入って来た。古橋はしかし、ここには止めなかった。小枝夫妻が来たときラクに止められるようにと、二人を降ろすと近くの他の駐車場に入れた。いい男だ。

 

 座敷に内房の魚のご馳走がずらり。拓大紅陵吹奏楽部の顧問先生吹田正人が開会言。乾杯の発声は往時の首相、大平正芳のSP、永渕藤宏。鹿児島の玉竜高、法政大。玉竜というと立教大にやって来た五代友和が思い出される。永渕は息子さんが拓大紅陵の主将だったとき、夏の決勝で敗れ、いまでも“申し訳ない”と熱血の薩摩隼人。雨の日には雨天練習場を訪れ、打撃練習に鋭! と示現流のようないい球を投げている…。音頭は見事だった。「皆様のご多幸をお祈りします」。おめでとうございますではなかったのがよかった。

 

 それから静かな会になった。拓大紅陵野球部長坂巻展行。副部長冨樫富夫。コーチ西村貴之。君津商、亜細亜大、社会人野球…吉村正明。明大の観察力すぐれた捕手、現JFE主将中野大地。彼らは小枝の野球をよくわかっている。先生はいつものとおりにやる。きっと勝つと、思い続けていた。

 

 出発前、高校全日本が幕張で合宿したときは、地元なのでホテルの友だちから様子がわかっていた。「先生は朝一番に起きて選手が起きてくるのを見ているんだって。きっと用具の手入れも見ているよ。広島新庄の左投手堀瑞輝に先生が朝のバイキングで何が好き…と聞いたんだって。堀は“コーンフレーク”と答えたそうだ。堀はこれで固さがとれたよ。きっと活躍するよ」。彼らはずぅーっと小枝に会えなかった。小枝は多用で、会の前日もカナダ大会の準備のために秋の東北大会に調査に。やっと会えたのだ。8時少し過ぎ「さ、失礼するよ」と小枝。19日から各校は中間テスト。先生たちの出校が早いのを思いやったのだ。ちょっとしたことだが周到な思考の一例。勝つわけだ。

 

 友と別れ難い想いの男もいた。稲毛でお茶。また逢えるのに。暮れの28、29日、鴨川で一泊の高校野球勉強会。こういう選手はどう伸ばして行ったらよいか。具体例を出し合って話し合う。20年余続いている。会長はもちろん小枝。小枝は24日関東大会の宇都宮へ。また逢う日までである。=敬称略=(スポーツジャーナリスト)