広島のクリス・ジョンソン投手(32)が24日、「沢村賞」に選出された。外国人投手の受賞は1964年のジーン・バッキー(阪神)以来、52年ぶり2度目の快挙だ。

 その年に最も活躍した先発完投型の投手に贈られる同賞は選考基準として15勝以上、防御率2・50以下、完投10試合以上など7つの項目が設けられている。ジョンソンは防御率2・15、15勝など7項目中4項目を満たすのみだったが、都内で開かれた選考委員会では年間を通じて安定感があり、リーグ優勝に大きく貢献した点などが評価された。

 ジョンソンは日本シリーズの移動日となったこの日、札幌ドームで黒田、岡田とともに軽めの調整。終了後、グラウンド上で取材に応じ、開口一番「このような賞をいただいて非常に感激している」と喜びのコメントを発すると、こう続けた。

「自分一人の力で受賞できたものではない。後ろを守ってくれたチームメート、特に私の投球を受けてくれる石原に感謝したい。自分と石原のバッテリーで取った賞だと思う」

 外国人選手としての偉業達成については「彼(バッキー)の次に名前を刻めて本当に光栄」と静かな口調で述べた。

 米国から海を渡り、日本でプレーするようになって今季で2年目。昨季と変わらぬ素晴らしい投球内容と成績を残し、広島投手陣の大黒柱になった。

 今季の中でターニングポイントとなった時期について問われると、5月17日のヤクルト戦、同月24日の巨人戦(いずれもマツダ)と2試合連続完封勝利を飾った2つの登板を挙げた。「あのころに『いけるな』と思った」

 表情を変えることなく淡々と喜びを語った最強助っ人左腕。日本シリーズの次回登板は中4日での第5戦(27日、札幌ドーム)が濃厚だが「まだ登板まで日にちがあるから、しっかり調整する。(初戦登板の疲れは)左肩と腕がくっついているから問題ないよ」とジョークも交え、周囲を笑わせる余裕を見せた。