来季巻き返しに燃える阪神・金本知憲監督(48)が20日、ドラフト会議でサプライズ指名を断行した。チームは即戦力の桜美林大・佐々木千隼投手(22)を筆頭候補に挙げてきたが、フタを開けてみれば1位は白鴎大・大山悠輔内野手(22)という右打ちのスラッガーだった。

 周囲がどよめく中、見事、一本釣りを決めた金本監督は「今のチームの現状を見た時、若手のホープというか、投手、野手の数を検討するとウチの弱点はやはり野手。野手で行こうと満場一致で決まった。いつ? 今日のお昼ぐらいです」。ドラフト直前のスカウト会議で電撃決定したことを明かした。

 大山は身長181センチ、体重85キロ。大学日本代表の4番も経験した長距離砲で「将来的には打線の中軸を担う打者になれる可能性を持っている」(平塚スカウト)とかねて評価も高かったという。「超変革」で臨んだ今季は長打力不足に悩まされただけに、指揮官も「右の大砲候補。打撃がしなやかで強い。タイプ的にはヤクルトの山田に似ている。1年目から活躍? 厳しいかもしれないが、できるだけ早く頑張ってほしい」と球界史上初の2年連続トリプルスリーを達成した男の名前を出してまで絶賛した。

 昨年のドラフトは高橋(現ソフトバンク)の指名が濃厚だったが、就任したばかりの金本監督は明大・高山を逆転選択。ヤクルトとの競合の末、見事クジで引き当てたが、今年も鉄人主導のドラフト劇となった模様だ。惜しまれるのは競合必至だった〝即戦力ビッグ2〟の一人、佐々木を単独で1位指名できる可能性があったこと。それでも2位に即戦力候補の富士大・小野泰己投手(22)の指名に成功し、3位には将来性を重視して須磨翔風・才木浩人投手を選択できた。鉄人一押しの大山の今後が楽しみだ。