【伊原春樹「新・鬼の手帳」】日本ハムはすべてにおいてバランスがとれていた。栗山監督はじめ、コーチの選手の使い方もまさに適材適所。首位のソフトバンクまで6月には最大11・5ゲーム差あったが、終わってみれば優勝は当然の成り行きだったと思う。

 投手陣は7月後半までに10勝を挙げた有原が成長。大谷と2本柱が組まれ、これに3年目の高梨、さらには先発転向した増井が加わり、先発陣は厚みを増した。増井の代わりの抑えもマーティンがピタリとはまった。巡り合わせまでが良く、投手陣はいつしかソフトバンクに匹敵する陣容になっていた。

 打線では大谷の活躍も素晴らしかったが、なんといっても中田の存在感が大きかった。栗山監督が我慢して4番でずっと使い続けた結果、リーグトップの打点を稼いでいる。この中田とレアードがポンポンと本塁打を放つ。ここがソフトバンクとの違いだ。ソフトバンクで本塁打を量産できるのは柳田だけ。結局、李大浩の抜けた穴を埋められなかった。

 中田、レアードが面白いのはともに得点圏打率が3割に満たないのに、ここぞという時に打つところだ。それも劣勢や大一番で打っている印象が強い。ソフトバンクとの天王山2連戦の2戦目(22日、ヤフオクドーム)でもそれまではサッパリだった中田が7回の第4打席に勝負を決める2ランを放ち、宿敵に事実上の引導を渡した。この勝負強さには脱帽だ。

 ただ一発だけではなく、西川、中島、陽…と機動力もふんだんに使える。とりわけ中島は打率2割4分ほどだが、相手投手にこれでもかというほど球数を投げさせる。相手にとってこれは本当に嫌。派手ではないが、中島の功績も大きい。

 投打ともにバランスよくまとまった日本ハムはCSでも断然有利。優勝チームが日本シリーズに出なければいけない。(本紙専属評論家)