27日のロッテ戦(QVC)に3―2で勝った、後がない2位ソフトバンクは2010年の経験を糧に28日のロッテ戦に臨む。

 負けたらV逸の一戦で踏みとどまった。2―0の8回に先発の千賀が連続押し出し四球を与えたが、直後の9回一死一、三塁で福田がスクイズを決め、決勝点をもぎ取った。工藤監督は「また明日、頑張ります」と話した。

 とはいえ、日本ハムのマジックは1。ソフトバンクが逆転優勝を飾るためには残り3試合全勝が最低条件で、それでいて日本ハムが残す2試合を落とさなければならない。普通に考えれば厳しいが、残り試合を考えれば相手も極限状態だ。過去の経験を考えれば、可能性は残されている。

「2010年だって最後までどうなったか分からなかったわけだからね」(チーム関係者)

 その10年は西武に対して残り6試合で3・5ゲーム差を逆転して優勝したが、ソフトバンクはマジック1で最終戦の最下位・楽天戦に臨んだ。勝てば優勝だが、負ければ1試合多く残す西武に逆マジック1が点灯する可能性があり、100%勝たなければならない試合だった。

 しかし、結果は惨敗。ところが西武も敗れ、最終ゲーム差0で優勝はソフトバンクに転がり込んだ。もっともクライマックスシリーズでは3位のロッテに下克上を許してしまったが…。とにかく、今回も勝てば優勝の日本ハムが重圧で取りこぼすこともあり、当時の西武のように敗れなければ、奇跡もありうるというわけだ。

 球団フロントの一人も「日本ハムにしたって、100%勝たないといけないという中で、その通りに勝つのは簡単ではない。厳しいのはもちろんだけど、勝っていれば状況一つで分からなくなってくる」。球場を訪れた王球団会長も「うちは勝つしかない」とキッパリ。絶体絶命なのは言うまでもないが、果たして――。