日本ハムが25日の楽天戦(札幌ドーム)に延長11回の末、相手の暴投により2―1でサヨナラ勝ち。ソフトバンクが西武に負けたため、優勝マジックは「3」となり、最短で27日の西武戦(西武プリンス)で4年ぶりのリーグ優勝が決まる。

 ヒーローは8回の同点打、延長11回の二塁打で出塁し、サヨナラのホームを踏んだ大谷だった。しかし、陰のヒーローはその大谷が「ヒジが痛い時もそうでしたけど、その中でもしっかり結果を出してくれるのはさすがだなと思う」と最敬礼した投手リーダー・宮西尚生(31)だった。

 宮西は前日の試合で登板した際、右足首を負傷。本来は大事を取るべき状況で延長10回に志願の連投登板をし、足を引きずりながら楽天打線を三者凡退に仕留め、サヨナラ勝ちの流れを作った。栗山監督は「こういう時に何が大事なのか、ミヤが示してくれた。最後は魂なんだよ、というものが若い投手に勇気を与えてくれたと思う」と宮西の男気に感謝。ブルペンから宮西を送り出した「元祖・魂のエース」黒木投手コーチはその姿に号泣していたという。

 宮西は「今日自分の中でモチベーションが上がったのは(武田)勝さんかな。投げたくても投げられない人がいる。自分は投げられる環境にあるということ。(ヒジを痛めた)2年前に比べたら余裕っす」と今季限りで現役引退を発表した技巧派左腕に敬意。続けて「ボクがどうのこうのじゃない。投手も野手もみんな一つになっている。(シーズンが)最後までどうなるか分からない展開で、若い選手だけじゃなく自分もすごく勉強になっている」とチームの一体感を口にした。

 自分のためではなく人のためだから頑張れる。今、日本ハムは仲間に対するこの思いだけで最後の苦しい坂を駆け上がっている。