ちょっと、まだ心の準備が…。25年ぶりの優勝へカウントダウン中の広島が、4日のヤクルト戦(神宮)も4―3で勝ち、巨人が中日に敗れたため、マジックは2つ減って「4」となった。7日の中日戦(マツダ)にも悲願の胴上げとなるが、あまりにも早過ぎるマジック消化に、鯉党からは心配の声が上がっている。

 新井の先制2点適時打などで4回までに4点を奪うと、先発のヘーゲンズは「6回の壁」を克服して7回途中3失点(自責1)で7勝目をマーク。最後は守護神・中崎が3人で退けて自身初の30セーブ目を挙げた。

 マジックは8月24日に「20」が初点灯してからあっという間の「4」。点灯後、広島の8勝2敗の快進撃に加え、2位巨人の1勝8敗というダメぶりが異例のスピード消化を後押ししている。それでも新井は「(マジック4は)気になるけどあまり考えず、一試合一試合、気を引き締めて」と冷静に話した。

 だが3万430人と満員御礼となった神宮の半分以上を赤く染めた「鯉党」は複雑な表情だ。

 広島から来たという男性(50代=会社員)は「あまりに順調すぎる。黒田、新井以外は若いチームだし、優勝争いが厳しくなればなるほどチームが成長できる。巨人がだらしないからだけど、これではチームの経験にならない」と“無風”の優勝争いは複雑だという。また都内在住の鯉党の男性(20代=学生)は「あまりに早く優勝が決まると(CS)ファイナルステージ(10月12日)まで1か月以上も空いてしまう。ギリギリまで2、3位争いをしていた相手に試合勘が心配」と先を見越して心配は尽きないという。

 一方「カープ芸人」としても知られる、ザ・ギースの尾関高文(39)も「せっかくの25年ぶりの優勝を『もっと、ゆっくり味わいたい!』という気持ちもありますねえ」と苦笑い。だらしない巨人のおかげで、優勝までのドキドキ感が物足りなく思っている人たちが多いようだ。

 とはいえ、現場で戦う選手や首脳陣からしてみれば、一日でも早く決めてプレッシャーから解放されたいところ。強すぎるがゆえのぜいたくな悩みと言えそうだ。