ソフトバンクが2日の楽天戦(コボスタ宮城)に8―6で執念の白星を挙げ、ついに優勝マジック20が初点灯した。2位・日本ハムとの差は1・5ゲーム。まだまだ激戦は続くが、不安要素は骨折で戦線離脱した柳田悠岐外野手(27)の不在だ。工藤監督は連日、早期復帰への期待を口にしたが、可能性はあるのか。

 3点リードの8回に勝ちパターンの森が同点に追いつかれるまさかの展開。しかし、直後の9回に楽天・松井裕から二死一、三塁のチャンスを作り、5番・松田が右中間を破る2点適時三塁打を放ち試合を決めた。

 これでリーチをかけながら8度お預けだったマジック20がついに点灯した。とはいえ、2位・日本ハムとは1・5ゲーム差。最後まで激戦は続きそうだ。残りは22試合。工藤監督は「そのことよりも、毎日一生懸命やるのに精一杯。その日を精一杯に戦うだけ」と話した。

 そんな中で気になるのが打線のキーマン・柳田の復帰時期だ。8月末から打ちまくっていたが、前日1日の西武戦(西武プリンス)の守備で右手薬指を骨折して登録抹消。右第四指末節骨骨折で全治6週間と診断された。これだけ見ればレギュラーシーズンどころかクライマックスシリーズ(CS)の復帰も微妙な状況だ。

 ただ、試合後の工藤監督は「(再登録できる)10日後に状況を聞いて、どうするか話をしたい。6週間というのは普通の人が治るまでの期間。治療すれば、そこまでかからないかもしれない」と早期復帰に期待。一夜明けたこの日も、戦列を離れる柳田にかけた言葉を問われると「『早く治してな。10日で上がるくらいのつもりで』と話しました」と口にした。

 実際問題として「箇所が指の先だからね。本人の感覚次第なところはあるが、本人が大丈夫ならやれる可能性はある」(チームスタッフ)。シーズン中の復帰がなくなったわけではない。だからといって、言葉通りに強行出場させる意思はないという。

「監督も無理をさせるつもりで言ってるわけではない。本人の気持ちを考えれば、こんな時期に、ゆっくりでいいぞとは言えないでしょ。それに、柳田がいるのかいないのかで、うちの打線に対する他球団のスコアラー戦略も大きく変わる。それも加味して、ああいう言い方をしているのだろう」(チーム関係者)

 柳田はCSの出場について「そこは最低限、出られるようにしたい」。その上で「早ければ早いほうがいいが、こればかりは分からない。やれることをやる」と話した。当面は治療に専念する以外の方法はないが、“超回復”はあるのか。