V3に向けた大きな白星をもたらしたのは和田だった。8回を投げて5安打1四球2失点。10奪三振の快投を見せた。

 ガッツポーズを連発するなど、感情を表に出しながらの120球の熱投。試合後は「それだけ大事な試合。勝手にスイッチが入ったんじゃないですか」と話した。

 ベテラン左腕の頼もしい姿には球団フロントも最敬礼だ。なかでも「さすが」と脱帽したのが「前回の日本ハム戦にしてもそうだけど、点を取ってもらったら、その後のイニングで失点しない。どこをしっかり抑えればいいのか、勝つためのすべを分かっている」という勝負どころを知り尽くした投球だった。

 試合だけではない。35歳ながら夏場に入っても調子が落ちる気配がない。1日に猛暑の西武第二球場で練習した際のこと。工藤監督から疲労について聞かれると「開幕した後くらいが体は一番しんどかったです。オフ、キャンプでやってきた分の疲れが出ていたので」と答えた。

 それもこれも、1年間を通して投げ抜くのはもちろん、勝負どころにピークを持っていくための調整をしてきたから。「夏場に体調を上げていくつもりで自主トレからやってきた。このときのためにというか、終盤のためにトレーニングをやってきた」という。

 今季は武田、東浜、千賀ら若手が先発ローテーションに増えている。投手陣に疲れも出てきている中で、経験豊富な左腕が頼もしい存在となっている。