中日・谷繁元信監督(45)が、21日のナゴヤドームでの全体練習中に、交流戦で打撃不振に陥ったダヤン・ビシエド外野手(27)に対して約10分間の直接指導を行った。これまでは主砲を“大人扱い”して本格的なメスを入れていなかった指揮官だが、この日は自ら歩み寄って通訳を介して身ぶり手ぶり。時折、爆笑するなど和やかなムードでアドバイスした。

「指導というか、今日はリラックスした中で、どういうふうな状態なのかという話をしただけ。張り詰めて会話するのと、リラックスして話すのでは伝わり方も違うものがあるからね」と谷繁監督は説明したが、ビシエドは感激しきり。「打撃のいろいろなポイントを指摘してもらった。『ストライクゾーンにこなければ、ボールを選ぶこと』とか『長いシーズンなんだからいいときもあれば、悪いときもあるさ』とかいう話だった」と言って目を輝かせた。

 このシーンにはビシエドだけではなく周囲もニンマリ。4月に不振だったナニータが指揮官から打撃指導を受けた途端に復調し「ビシエドにも同じことをしてほしい」との声が出ていた中、ついに実現したからで「ここまで監督はスランプ状態のビシエドに、ああだこうだと言うのではなくて、じっと我慢してきたと思うけど、指導するにしても頭ごなしではなく、リラックスムードの中で、いろいろ配慮して伝えたのはさすがだよ」とチーム関係者はうなるばかりだ。

 本塁打は9日のオリックス戦(京セラドーム)で16号を放ったのを最後に出ておらず、打率も2割7分6厘と下り坂のビシエドだが、ナニータに続いて谷繁指導で打棒復活となるか。リーグ戦再開の24日のヤクルト戦(神宮)は、そういう点でも注目だ。