菅野神宮初勝利の裏に小林誠の強気リード

2016年04月14日 16時00分

鬼門克服にガッツポーズを決めた菅野

 巨人・菅野智之投手(26)がついに“魔物”を克服した。13日、プロ未勝利だった神宮球場でのヤクルト戦に登板したエースは、ツバメの強力打線を4安打に抑え、圧巻の2試合連続完封。同球場での初白星と今季3勝目を手にした。右腕は打っても2安打1打点と活躍し、8―0の勝利に投打で貢献。「神宮鬼門説」に猛反論していた女房役・小林誠司捕手(26)の好リードにも助けられ、周囲の雑音も一気にシャットアウトした。

 

 強気に攻め抜いた。対戦前に「真っすぐがカギ」と話していた通り、この日の菅野は多彩な変化球を投げ分けつつ、中軸相手にはギアを上げ、力のある球でねじ伏せた。打線も今季最多18安打8得点とエースを大量援護。菅野自身も、4回に自らの適時打で3点目を叩き出して波に乗った。

 

 9回に初の四球から二死満塁の危機を招くも、最後は上田を空振り三振に斬って小さくガッツポーズ。プロ4年目でようやくつかんだ神宮初勝利を、2戦連続完封で飾った。

 

 今や誰もが認める巨人のエースに成長した右腕だが、神宮ではプロ入り後7戦0勝5敗(うちCS1試合)とどうにも勝てなかった。チームも昨季3勝8敗と大きく負け越したが、神宮はとりわけ投手にとって“厄介な球場”とされる。

 

 試合前、ヤクルトでプレーした相川は「屋外照明やグラウンドの傾斜、マウンドとブルペンの形状の違いとか、難しい要因があるのは確か。ヤクルトの投手でも『投げづらい』と話す投手がいたぐらいですから」と話し、同じく元ヤクルトの藤井打撃投手も「捕手の後ろとの距離感が(他球場と)違って遠く感じる。グラウンドも(マウンドを中心に)下がっている。微調整に時間がかかると、序盤はしんどい。慣れたからといっても、その試合でどうするかが問題。毎試合大丈夫かといったらそうではない」と対応の難しさを語っていた。

 

 菅野自身も対戦前には「(神宮で)勝ててないというのは何かがあると思う」と、やはり特別な意識を抱いていることを認めていた。だがそんなチーム内で「神宮だからとかは全く関係ない」とキッパリ主張していたのが、この日マスクをかぶった小林誠だった。

 

 本紙が捕手目線での神宮対策を尋ねると、いつもは笑顔で取材に応じる男が血相を変えた。厳しい口調で「なかなか勝てないとか、鬼門とか、魔物とか…。そういうのは全部、メディアの皆さんや周りが騒いでいるだけのことでしょう。僕は意識もしていないし、この球場だからといって特別に対策するということは一切ありません!」と言い切ったのだ。

 

 そんな強気な女房役の存在が、この日の菅野にとっては大きかったようだ。神宮初勝利の味を「長かったですね…」とかみ締めた右腕は「7回のピンチ(二死一、三塁)で小林から強い言葉をかけてもらった。『ここで点を取られたら意味ないだろう』と。最後まで投げるという強い思いはありましたが、そこで自分も完封を意識したし、だから9回のピンチも乗り越えられた。小林には感謝しています」と同い年の相方を持ち上げた。

 

 試合後、G党の歓声を背に受けながら引き揚げた小林誠は、本紙にひと言、「だから、関係ないんです」。バットで3安打3打点の援護も光ったが、エースを魔物打倒に導いたのは、さわやかな顔に隠された強心臓だった。