大記録に挑むベテランの勢いが止まらない。広島の新井貴浩内野手(39)が6日のヤクルト戦(マツダ)の初回に2点適時打を放ち、通算2000安打まで残り13とした。開幕からの11試合で16安打と超ハイペースでヒットを量産中だ。先発のクリス・ジョンソン投手(31)は完投こそ逃したものの9回途中3失点で今季初勝利。チームも6—3で勝ち、7日ぶりの貯金生活に突入した。

 迷いなく振りぬいた。初回一死満塁で迎えた第1打席。押し出し四球で動揺を隠せないヤクルト先発・寺田の直球に狙いを定め、内角低めをコンパクトに叩いて中前へ。一気に2者が生還した。「いいところで打てて良かったです」。第2打席は右飛に倒れ、前日からの連続打席安打は5でストップしたが、この日の天気と違って新井のバットに“湿り”は見られない。

 春のキャンプでは「自分はポジションを与えらているわけではない。奪いにいく立場」と悲壮感を口にし、若手よりも早く球場に来て体をいじめ抜いた。

 今季は開幕から6番に座り続ける。「6番だから気が楽とか、そういうものはない。どの打順でも走者を返すという役割に変わりはないわけだから」と言うが、4番を務めた昨季より精神的負担も軽くはなっているのだろう。

 安打を量産する新井には、いつの間にか「アラメーター」の異名が定着した。新井は「(打つたびに)チームメートからアラメーターとはやし立てられる」と照れ笑いを浮かべるが、気分が悪いはずがない。

 通算2000安打まで残り13本とする新井の適時打で、赤ヘル打線に火がついた。2回には「甘い球をしっかりヒットにできた」というルナの適時打が飛びだし、寺田をKO。続くエルドレッドも代わった松岡から左中間への適時二塁打を放ち「先で打ったけど振りぬいたぶん、間を抜くことができた」と分厚い胸を張った。

 大量援護に支えられた先発のジョンソンは完投こそ逃したが、9回途中3失点で今季初勝利をマーク。前回は中継ぎ陣の炎上で勝ち星をフイにしたが、これで助っ人左腕も乗ってくるはずだ。

 次カードでは甲子園に乗り込んで因縁の金本阪神と対戦する。今季の赤ヘルが勢いだけでないことを証明する最高の舞台だ。