今秋ドラフトの最大の目玉、創価大・田中正義投手(21)が57イニングぶりに失点を喫した。

 プロ野球全12球団のスカウトが陣取る中、東京新大学リーグ春季開幕戦となった杏林大戦(5日、県営大宮)に先発し、最速151キロの直球と変化球で6回まで完全投球。7回先頭打者に投手強襲打で初安打を許すと、一死一、三塁で相手のスクイズを空振りさせるも挟殺プレーで送球が走者に当たる失策で1点を失った。

 さらに9回一死から初の四球を与え、一死一、二塁から2点適時三塁打を浴びたが、8―3で勝利。田中は9回109球を投げ4安打3失点(自責2)12奪三振1四球で完投勝利を挙げた。昨季から続いていた連続無失点は56回でストップしたが、2月に右肩の張りを訴えたこともあり「初回に3点を取ってもらって楽になった。今日、完投できたことは意味がある」と前向きに話した。

 ヤクルトの小川淳司SDが「欲しくない球団はないでしょう。無事かどうかを見に来ただけ」と語れば、阪神の和田豊オーナー付SAも「真っすぐだけなら今でも(プロで)通用する。状態も上がってくると思う」と元監督2人が揃って絶賛。その一方、在京球団のスカウトから気になる指摘があった。「7回の投手強襲打で田中君は一塁方向に転がったボールを上から送球し悪送球になった。短い距離の送球がイップスになっている可能性がある。クイックで球速が極端に落ちるなど課題は多い」

 それでも同スカウトは「ただ素材は一級品だし守備面はプロ入り後にいくらでも修正できる。12球団競合の可能性もゼロではない」と欠点が発覚しても、プロの評価は全く変わらないことを強調。この日の自己評価は「70点」とやや低めだった田中だが、今年のドラフト戦線の話題をこの右腕が独占しそうだ。