【不祥事余波】由伸巨人 深刻な“円陣恐怖症”

2016年03月21日 06時00分

ヤクルト戦で声出しをした立岡(左から2人目)は強烈なヤジを浴びた

 巨人の“不祥事後遺症”が深刻だ。19日、楽天とのオープン戦(東京ドーム)に3―9で惨敗。3年連続開幕投手の菅野智之投手(26)こそ万全の投球を披露したが、守備陣は4失策と散々でリリーフ陣も軒並み打ち込まれた。集中力を欠くプレーの原因のひとつは試合前に行われる円陣だ。「声出し」を巡る金銭の授受が明るみに出て以降、周囲から過剰な注目を集め、ナインはウンザリ。チームの結束を固めるどころではない事態となっている。

 先発したエース菅野は3回無失点に封じたが、それ以外は目を覆うような展開となった。2―0で迎えた6回からは味方守備の乱れが失点につながった。

 3番手・戸根は2年目岡本の失策から崩れて2失点(自責点0)で同点。1点リードの7回は二死二、三塁からドラ2ルーキー重信が松井稼の左前への打球を後逸して2者が生還して逆転を許した。8回のマウンドを任された山口はゴームズの3ランや二塁手クルーズのこの日2つ目の悪送球などで6安打、5失点(自責点3)と大乱調だった。

 由伸監督はリリーフ陣について「1年を通してずっといいということはなかなか難しい。たまたま今日がそういう日だった」と前を向いたが、失策のオンパレードには「ミスはあると思うが、少なくしていかなくちゃいけない」と厳しい表情だった。

 チームを取り巻くムードは依然として重苦しい。野球賭博問題に端を発して、円陣の「声出し」を巡る金銭のやりとりまで発覚。その余波は収まる気配がない。

 チームの士気を高める日常の光景だった円陣が、騒動になってから状況は一変。テレビカメラやスチルのレンズが向けられ、ベンチ上のスタンドからはファンのケータイやデジカメから一斉に「カシャ、カシャ、カシャ」とシャッターが切られる。当然、円陣の輪にいる選手たちは突き刺さる視線の変化を敏感に察知している。今やすっかり“蜂の巣状態”で、ナインの間からは「円陣をやるのはつらいですよ…」といった悲鳴が漏れている。

 円陣そのものは“締め”の役目を果たす主将・坂本の掛け声で輪が解かれる流れになっているが、矢面に立たされる選手は他にもいる。打撃コーチからランダムに指名を受けた選手が、主将の掛け声の前に相手先発投手の特徴や対策を円陣の中で披露するシステムがあるからだ。「選手たちが自分たちで調べたり、考えさせる」(江藤打撃コーチ)ことが目的で選手個々の成長を願って導入されたのだが、実はこれもスタンドからの“格好の標的”となってしまっている。

「声出し」が騒動となってから初めての試合となった16日のヤクルト戦(神宮)では、その役割を立岡が担当した。すると、無数のシャッター音を切り裂き、客席から「立岡! お前、ソフトバンクの時(2012年途中まで在籍)もやってたんか!!」などと罵声がとどろいた。ヤジを耳にしたナインからは「こんなに円陣が注目されたことはないし、あれはさすがに立岡がかわいそうだった」と同情の声が渦巻いた。

 そんな状況を目の当たりにしているだけに、打撃コーチによるランダム指名にナインは「いつ自分が指名されるのか…」と戦々恐々。この日は誰も指名されずひと安心だったが、ナインは完全に“円陣恐怖症”に陥ってしまっている。

 本来なら円陣はチームを鼓舞するためのもの。巨人OBでソフトバンク・王貞治球団会長も「やったことは悪いことかもしれない」としながらも「(選手自らの)集中力を高めるためで、ファンを裏切るためにやったわけではない」と話している。巨人が一致団結し、気持ちよく円陣を組める日は訪れるのか――。