西武の主砲・中村剛也内野手(32)がかつて自軍の大エースだったソフトバンク・松坂大輔(35)との“初対決”を心待ちにしている。

 日本球界復帰2年目の松坂は16日に西武プリンスドームで行われるホークスとのオープン戦で、2006年10月7日、プレーオフ第1ステージ第1戦以来、約10年ぶりの“凱旋マウンド”を踏む。当時、西武のエースだった松坂はメジャー移籍直前の“日本ラスト登板”で、ソフトバンクの元エース・斎藤和巳投手(38=現野球評論家)と壮絶なエース対決を制した。

 シーズン18勝を挙げた同年の沢村賞右腕・斎藤が西武打線を9奪三振1失点完投の力投を見せれば、同17勝の松坂はそれを上回る13奪三振完封勝利で1―0の投手戦をものにした。

 結局、プレーオフは第2戦、第3戦を落とした西武が逆転負けし、シーズン3位のソフトバンクが1位・日本ハムとの第2ステージへ進出したのだが、「4死球」という厳しい内角攻めで相手をねじ伏せた松坂の鬼気迫る投球は見る者を圧倒した。

 当時、プロ5年目の23歳で同試合に「7番・三塁」で出場した中村は「(胸元に)相当来てたんでしょうね。絶対に負けれない試合で、ああいう投球ができることがすごいなと思いました」と当時、26歳だったエースのすごみをグラウンド上で体感した。

 その2年後となる08年、中村は「6番打者」として西武の日本一に貢献。87年に秋山幸二外野手が43本で本塁打王に輝いて以来、チームの日本人選手では21年ぶりとなる40発超え(46本塁打)で初タイトルを獲得すると、翌09年からは「西武不動の4番」に座り計6度の本塁打王、同3度の打点王に輝くなど、球界を代表する長距離砲としての地位を固めている。

 その中村に“プロのすごさ”を教えてくれた松坂との“初対戦”が10年の時を経て実現する。09年WBC直前、南郷キャンプで松坂が練習に参加し、1度フリー打撃に立ったとはいうが試合の中での対戦は今回が初めて。中村は「実際にやってみないと、分からない」と当時とは球速も投球スタイルも違う松坂とのマッチアップを楽しみにしている。結果がどうであれ、中村の中の「すごい先輩」のイメージが変わることはない。