阪神・金本知憲監督(47)は9日、開幕一軍メンバーについて「白紙」を強調した。野手ではキャプテンの鳥谷、福留、ゴメスの3人はレギュラーを確約、ドラフト1位ルーキーの高山俊外野手(22=明大)のスタメン起用も有力視されているが、その他は未定。シーズン中も、これまで同様のサバイバル競争を継続させたい考えだ。

 目下、開幕一軍の切符を手に入れようと若虎のポジション争いが激化。レギュラー扱いの鳥谷、福留、ゴメス以外の各ポジションでは、沖縄・宜野座での厳格キャンプから火花バチバチのアピール合戦が続いている。

 この日は、2年目・江越に続いて“金本チルドレン”の3年目・陽川が二軍落ち。出場機会を求める一軍選手が日替わりでファームに出場したり、二軍選手が一軍に呼ばれ「今日は誰が一軍で、誰が二軍に行っているのか分からなくなるくらい激しい」(チーム関係者)という状況だ。

 開幕一軍メンバーは、どうなるのか。金本監督は「まだまだ競争というスタンスでいる。開幕が、すべてではないから。1年間は長い。143分の1試合という捉え方をしているから」とコメント。昨年最下位のDeNA・ラミレス監督が8日に開幕スタメンを発表するなど、他球団は徐々に陣容を固めつつあるが、鉄人は“まだ白紙”を強調した。シーズンに入っても、なおメンバーを固定せず、キャンプのような激しい競争をさせながら一、二軍の入れ替えを断行する。

 矢野作戦兼バッテリーコーチも正捕手について「シーズンに入っても決められないかも。一人に絞ることは、なかなか難しい」と発言。鳥谷ら3人を除いた各ポジションに誰が就くのか、開幕スタメン濃厚のドラフト1位・高山以外、全く不明だ。あえてレギュラーを決めず開幕に突入する。

 これにはチーム内から歓迎の声が続出した。ある球団関係者は「シーズンも、競争に励んだキャンプの延長と考えたらいい。監督にとっても3年契約の1年目の今年が、一番いろいろと試すことができる。レギュラーが決まっているヤクルトとウチは違う。若手を探る年で、いいヤツが出てくれば使い続ければいい。原監督時代の巨人は選手層が厚かった。それを目指せばいい」。あるコーチも「横一線の競争によって、今まで一軍候補に名前のなかった選手も頭角を現し始めている。チームとして、いい状態で来ているのは間違いない。今後も、こういう(レギュラーを決めない)状況が続いていけばいい」と賛成した。

 この日、大阪市内で行われた球団激励会で、金本監督は「選手は厳しいキャンプについてきてくれた。シーズンを通して阪神は強くなったというところを見せ、オフはみんなで喜べるように頑張っていきましょう」と、あいさつ。今年の虎の身内バトルは、まだまだ熱くなる。