巨人のドラフト1位ルーキー・桜井俊貴投手(22=立命大)が23日、韓国KIAとの練習試合に先発し、3回2安打1失点4三振とまずまずの対外試合デビューを飾った。ただ、開幕ローテ入りが有望視される新人右腕の評価は、チーム内外で割れている。ライバル球団は絶賛の嵐だが、身内の目はまだ半信半疑。期待のルーキーの真の実力はいかに――。

 開始直前まで降り続いた雨も上がり、試合は午後2時から予定通りに行われた。首脳陣が注目する中、登板した桜井は、直球主体にテンポ良く追い込むと「決め球にしようと話していた」というスプリットで4、5番から連続三振を奪うなど、上々の立ち上がり。3回に四球と二塁打で失点したが「低めに決めることをテーマにしていた。今日はそのテーマ通りにできて良かった」と手応えを口にした。

 ネット裏の評価も上々だった。ヤクルト・片岡スコアラーは「どの球種でもストライクを取れる。直球とチェンジアップの腕の振りが変わらないし、マウンドに上がってもブルペンと同じ投球ができる。直球にはものすごいスピンがかかっていて、スピード感を感じる」と大絶賛。他球団スコアラーは「間違いなく開幕ローテの一角を占めてくる投手」と口を揃えた。

 一方、チーム内からは意外なほどの辛口コメントが目立った。身内のスコアラーは「他球団のスコアラーが褒めていた? それは、お世辞が8割と考えたほうがいい。チェンジアップを放ったときの腕の振りは緩んでいたから『こりゃマズイ』と思ったよ。制球も聞いていたよりはアバウトだと感じたしね。直球もキレはあったけど、140キロ前後では…。あと4、5キロ球速が上がってこないと苦しいかもな」と冷静に分析していた。

 また、この日は巨人OBで元投手総合コーチの川口和久氏が視察に訪れていたが「いい投手だが、上体で投げているのは気になる。下半身をもっと使えばさらに良くなる。あとは球速が上がってくればね」と、やはり直球のスピードを課題に挙げた。

 桜井の投球を楽しみにしていた由伸監督も「全体的に良かった」と評価しつつ「一塁走者に(フォームを)盗まれてスタートを切られている。そこは練習しないといけないですね」と課題を指摘することを忘れなかった。

 投手部門の管理を任される尾花投手コーチが「直球の質は良くなっているし、安心して見ていられた。開幕ローテ? 今のままいけばあるでしょう」と話しているだけに、桜井の一軍ローテ入りはほぼ確実な状況だが、どうやら手放しで絶賛できる段階ではない模様。外野の声には惑わされず、周囲は冷静にルーキーの力を見極めている。