【赤坂英一「赤ペン!」】カープの三塁コーチ、今年は石井コーチに代わって、西武から復帰した河田外野守備走塁コーチが務める。緒方監督から直接要請されたのがキャンプ3日目の夜で、翌4日の走塁練習でさっそくコーチスボックスに立つと、声を上げて腕をグルグル振り回していた。

「ぼくたちが現役だったころのように、とにかく積極的に走っていく野球を取り戻したい。何でもかんでもゴー!と言うわけじゃないけど、ランナー三塁で内野ゴロだったら、少々際どいタイミングでも突っ込ませますよ。カープは何をやってくるかわからないと、敵にそう思わせたいから」と、往年の赤ヘル機動力野球の復活を宣言した河田コーチ、この攻撃的な姿勢は外野守備においても徹底させる方針だ。

「去年までは丸にしても鈴木誠にしても、後ろに下がって捕る外野手が多かった。前に突っ込んで後ろにそらしたらヤバイと考えちゃうからなんでしょうが、そんなんじゃ敵にナメられます。相手のバッターが、抜けた、落ちたと思った当たりをがっちり捕ってやって、やられた!と思われるような守備でないとね」

 思い出されるのは昨年3月28日の開幕第2戦、先発のジョンソンが6回までパーフェクトを続けていながら、7回にヤクルト・山田の打球を鈴木誠がライト前安打にしてしまった消極的な守備。緒方監督や河田コーチの現役時代を知る私の目には、いまのカープの弱点を象徴しているようにも見えたプレーだった。

 このキャンプ中の紅白戦では、最終回一死満塁で丸がセンター前の打球に突っ込み、後ろにそらして“サヨナラ負け”の原因となった。しかし、河田コーチは「ああいう姿勢が大事なんだ」と、逆に丸を評価している。

「勝負どころにきて安全に、安全にと考えて後ろに守り、最後は結局負けちゃった、という試合が多かったのが去年までのカープなんですよ。これからのオープン戦でも、とにかく攻撃的に守り、積極的に走るという姿勢を浸透させていきたい」

 今季はかつて同じ釜のメシを食べた金本が阪神の監督に就任。その阪神の高代ヘッドコーチは、かつてカープの守備走塁コーチとして現役時代の緒方監督や河田コーチを指導した師匠でもある。となると、今年は広島―阪神戦で、熱く激しく、手に汗握る“赤ヘル野球対決”が見られるのではないか。いまから楽しみだ。