4年ぶりに阪神に復帰した藤川球児投手(35)が、沖縄・宜野座キャンプ第1クール最終日の4日、早くも2度目のブルペン入り。先発挑戦に向けて順調なスタートを切ったが、火の玉右腕に他球団偵察隊は早くもピリピリ。球児の“黒田化”を警戒する声が出ている。

 この日、正捕手候補の梅野に指示を出しながら60球を投げた藤川は「やることを継続してやるだけ。次のクールも、しっかり考えてやっていきたい」と気を引き締めた。昨年オフには他球団から「力的には落ちているだろう」と、どちらかといえば“軽視”されたが、順調な調整ぶりで周囲の視線も変わってきた。

 ヤクルトの西沢スコアラーは「ストレートで押すスタイルに変わりはない。先発をやるつもりでトレーニングをしているんだろうなと感じた」と火の玉ストレートの健在ぶりに舌を巻く。

 広島の玉山スコアラーも警戒を始めた。「ストレッチのやり方を見ても、しっかりと考えられていて、他の選手とは違う。その姿を見て、若い投手が感じるものは大きいと思う。ウチも昨年、黒田さんが帰ってきて、若い投手にいい影響があったが、そういう存在になるかもしれない」

 黒田が復帰した昨年の広島投手陣では、福井が自己最多の9勝をマーク。中崎が守護神として29セーブを挙げるなど若手の台頭が目立ったが、その裏には黒田の助言があった。

 同じように藤川の投球術や練習方法、取り組む姿勢が虎の若手投手をレベルアップさせる可能性ありとのこと。玉山スコアラーは「キャッチャー育成にもつながる」。藤川が、梅野やドラフト2位・坂本誠志郎捕手(22=明大)らと組むことで、虎の捕手難も一気に解消するのではないかとみている。

 阪神サイドもニンマリで「球児の存在はチームにとって大きなプラス。彼自身も経験を還元したいと言ってくれている。黒田投手のような効果もあると思っている」とは四藤球団社長。金本監督も「野球に対する姿勢、向かっていく姿勢を持っている投手」と、藤川に全幅の信頼を置いている。

「場合によっては敗戦処理もやる。ダメなら二軍に落としてもらってもいい。それがこの世界。遠慮はいりません」と、昨年の入団会見で“男気”を見せた藤川。ファンの期待は高まる。