阪神ドラ1高山に伊勢孝夫氏が授けた「成功の3か条」

2016年01月16日 10時00分

新人合同自主トレを終えた高山(左)に声をかける伊勢氏

 阪神の新人合同自主トレが西宮市の鳴尾浜球場で行われている。注目は東京六大学で131安打を放ち、リーグの通算安打数記録を塗り替えたドラフト1位・高山俊外野手(22=明大)だ。金本知憲監督(47)も将来の主砲候補として期待しているが、そんな大器を今年から本紙評論家に仲間入りした伊勢孝夫氏がチェック。昨年、打率3割、30本塁打、30盗塁のトリプルスリーを達成したヤクルト・山田など多くの長距離砲を育ててきた名伯楽が高山に「成功の3か条」を授けた。

 

 阪神の新人合同自主トレでは、まずドラフト1位・高山を見たいと思っていた。私が昨季までバッティングアドバイザーを務めていたヤクルトも高山の獲得を目指し、ドラフトで1位指名。

 

 阪神と競合した結果、金本監督がくじを引き当てたが、もしも、あの時、真中監督が交渉権を獲得し、私もヤクルトを退団していなかったら、指導することになっていたかもしれない。そう考えると、どうしても気になった。

 

 簡単ながらあいさつを交わしたが「これは活躍できるかもしれない」と感じた。長年、この世界で飯を食ってきたから分かる。新人王を狙える逸材だ。まず面構えがいい。これは私の持論だが、活躍する選手というのは面構えにそれが表れている。高山の場合は、その雰囲気があった。

 

 うまく育ってほしいが「鉄は熱いうちに打て」という言葉もある通り、大事なのは1年目の過ごし方。特に私が重要だと思うのは3つある。

 

【その1・バット】

 プロで主力として結果を残していくには、若いうちにとにかくバットを振ること。生き残るには人の倍、練習するしかない。

 

 特に重要なのがティー打撃だ。自主トレから毎日1000本。キャンプでも全体練習が終わった後などに居残りで1000本のティー打撃を行ってほしい。大変と思うかもしれないが、多くの一流選手が通った道だ。若いころの高橋由伸(現巨人監督)や高橋慶彦(現オリックスコーチ)もそう。最大の目的はバットを自由に扱えるようにすること。

 

 箸を扱うのと同じような感覚で、だ。バットを手足のように扱えるようになるには数を振るしかない。

 

 体が1000本振ることに慣れたら、次はティーにバリエーションをつけていく。例えば“ワンバウンドさせたボールを打つ”。これはフォークボールに対応する間を作るため。真横から早いトスを上げれば、速球への対応力をつけることができる。バリエーションは11~12種類ほど。

 

 ちなみに、ヤクルトでトリプルスリーを達成した山田も複数種類のティー打撃を行っている。ルーキーということを考えれば、高山はキャンプ終盤ごろには「高め」「低め」「内角」「外角」の4パターンのトスで合計1000本のティー打撃を行えるようになっていてほしい。

 

【その2・知恵】

 これは野村克也さんがよくおっしゃっていることだが、プロで活躍するには「心技体」に加えて「知恵」をつけなければならない。例えば相手の配球を読めるようになること。今は捕手のリードに首を振る投手は少ない。だから捕手ごとに自分に対してどのような配球をしてくる傾向があるのか分析することが重要だ。

 

 1年目となれば力は相手投手が上というケースがほとんど。投手を打つには知恵をつけていくしかない。そのためにおすすめするのは「野球ノート」をつけることだ。

 

 キャンプでは多くの阪神OBや評論家の話を聞く機会があるだろう。それを全部聞く必要はないが「良さそうだな」と思うものは必ずノートに書いておくといい。

 

 そしてシーズンに入ったら全打席で対戦した相手投手と捕手の名前、配球のチャート、寸評を書く。これだけで1シーズン終わった時には大学ノートが最低でも1、2冊は埋まる。続けることで相手の配球傾向が見えてくる。

 

 ヤクルトでは畠山も熱心にノートをつけている。

 

 私が近鉄でコーチをしていたころに熱心にノートをつけていたのは中村紀とローズだ。この2人は、ほかのどの選手よりもしっかり相手バッテリーを分析して試合に臨んでいた。

 

 大事なのは1年目から習慣づけてデータをためること。その情報は、やがてベテランになって力が衰えた時や指導者になった時、自分を助けることにもなる。

 

【その3・生活】

 シーズンに入ってから昼ごろに起きて漫然と球場に行くのではなく、朝、しっかり起きて食事を取り、散歩してバットを振ってから家を出るとか、若い時は生活のすべてを野球のために使うこと。

 

 今、自分がやっている生活は本当に野球がうまくなることにつながるのか。食事面も含め、早いうちからしっかり生活リズムを見直してほしい。

 

 金本監督も自らを鍛え上げることで一流になった。その指導の下、どう育っていくのか楽しみに見ていきたい。    (本紙評論家)

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