【宇野勝・フルスイングの掟】3年連続Bクラスに低迷する中日。今季は現役を退いた谷繁元信監督(45)が指揮に専任するが、果たして巻き返すことはできるのか。本紙評論家の宇野勝氏が中日の戦いを占った。

 昨年は5位に終わった中日だが、今年は優勝のチャンスも十分にあるとみている。理由のひとつはセ・リーグを見渡しても突出して強いチームがいないことだ。しかも広島は前田、ヤクルトはバーネット、阪神は呉昇桓など各チームから主力選手が抜けた。ますます混沌としていくだろう。昨年の中日は夏まではそこそこの戦いをしていた。上位と比べても力の差はない。課題となるのは打撃だろう。昨年のチーム打率2割5分3厘はヤクルトに次いでリーグ2位でありながら、473得点はリーグ5位。「チャンスで打てない」と言われてきたが、それよりも長打不足に原因があると思う。単打、単打でヒット3本でも点が入らない。走者二塁でも相手は長打がないと踏んで前に守るからだ。得点圏でヒットを打っても三塁ストップという場面を何度も見た。

 長打力という点で期待しているのは2年目の遠藤。将来的に20~30本近くの本塁打を打てる資質を持っていると思う。ただ首脳陣はショートで使いたいと思っているようだが、スローイングが気になる。三遊間の打球の送球が安定していない。送球距離の短いセカンドで使うべきではないか。昨年は抑え投手も固定できなかった。開幕当初は福谷を起用したが、何試合かの失敗で二軍に落としてしまった。メンタル的に弱っていたのだろうが、我慢して育てるべきだ。まだ若いのだからきついところを乗り切って初めて抑えになれる。福谷は三振を取れる剛腕。抑えの適性は一番だと思う。

 捕手も大きな課題。優勝チームはやはり捕手を固定している。取っ換え引っ換えではなかなか難しい。現状の中日は主戦捕手がいない。杉山、桂、松井雅、そして新人の木下(トヨタ自動車)の中からキャンプ、オープン戦を通して「こいつでいこう」という選手が出てくれば面白い。(本紙評論家)