チームを14年ぶりのリーグ優勝に導いたヤクルト・真中満監督(44)に出版界からオファーが殺到している。

「野球論のみならず、若い世代との付き合い方に悩む会社員にも読まれるような本を作れるのではないかと考えています」と語るのは“真中本”を企画した出版関係者だ。

 2013、14年と連続最下位に沈んだチームをもり立て、就任1年目ながら見事リーグ優勝に導いた。その手腕を評価する声は多いが、中でも注目を集めているのは若い世代が多いチームにおける人心掌握術。

 この点についてチーム関係者はこう語る。

「真中監督はとにかく選手の自主性を大事にした。『やらされている練習はためにならない。自分で考えないといけない』が主張です」

 ヤクルトでは春季キャンプから遅くまで残って練習するのが伝統だったが、今季は「監督が『アピールのための練習は必要ない』として先に帰ることが多かった」(同関係者)。選手個々が自身の課題と向き合う時間を与えたことで、結果としてチーム全体のレベルアップにつながった。

 上から押さえつけるのではなく、あくまで自主性を尊重し、成績を残した。今どきの若者に対する接し方に戸惑い、悩んでいるビジネスマンも多いとあって「ビジネス本としても十分通用すると考えてます」と前出の出版関係者は語る。

 監督本としては、過去に同じく就任1年目にしてリーグ制覇、日本一に輝いた西武・渡辺久信監督(現シニアディレクター=50)の「寛容力」(講談社)が話題になった例もある。

 いわば新任で結果を残した監督の“王道パターン”ともいえるが、来季はその指導力とともにパーソナルな魅力にもさらに注目が集まりそうだ。