阪神が韓国プロ野球界を震撼させている「海外賭博疑惑騒動」に頭を痛めている。現在、懸命の残留交渉を行っている2年連続セーブ王の呉昇桓(オ・スンファン=33)と推定される人物が、その騒動に絡んでいる――と複数の韓国メディアに過熱報道され、大困惑なのだ。

 伝統球団・巨人の野球賭博事件で揺れるNPBと同様、韓国でも名門のサムスンで賭博に絡んだ大騒動が起こっている。事の発端はサムスン所属3選手の海外賭博疑惑だ。いずれも、当初プレミア12にも選出されていたチームの主力投手。そのうちの一人で、日本でも活躍した元ヤクルトの林昌勇が24日、マカオのカジノで賭博を行った容疑で検察から調査を受け、カジノで4000万ウオン(約430万円)程度の賭博をしたことを認めたという。

 そして韓国の検察は今後、林昌勇以外の「賭博をしたと思われる海外組の野球選手」についても関係者からの証言を受けて事実確認を進めており、その証拠がそろい次第、海外組選手に話を聞く予定というのだが、複数の韓国メディアはその“渦中”の選手を「元サムスンの選手」「数年前にFAで大金を手にした選手」、極め付きは「オ(※)某氏(※=ハングルのオ)」とまで報道した。

 実名こそ出ていないが、これらの経緯、条件を振り返れば、その人物が「呉昇桓」であることは明白。実際、ある韓国球界関係者は「彼は林昌勇と親しく、賭博疑惑のある他の2人の選手とも自主トレをする仲。こちらでは無関係というのはありえないし、何らかの形で関わっているのでは、とささやかれている」と証言。呉昇桓が母国では“疑惑の人”と化しているというのだ。

 韓国の刑法246条1項は「賭博をした人は1000万ウオン(約107万円)以下の罰金に処する。しかし、一時的な娯楽程度なら例外とする」としており、常習性の高い賭博に絡んでいた場合は処罰の対象になりうるというが、これら一連の「匿名疑惑報道」には阪神も大弱りしている。「オ某氏」なる選手が、本当に呉昇桓かどうかはまだ不明で今後を見守るしかないが、呉昇桓とは来季残留に向けて交渉中。四藤球団社長は「ノーコメントです」と言うのが精一杯で、ある球団幹部も「まだ情報が確定してないから何もわからない…」。別の関係者は「交渉に悪い影響が出ないといいけど…」とすっかり頭を抱えている。大事な交渉の行方が今回の「疑惑報道」で余計な心配まで生んでしまったのだから仕方のない話だ。

 メジャー移籍か、阪神残留か、で去就が注目され、金本新監督から「残ってもらわなきゃ困る」とラブコールを送られている呉昇桓。現在は米国でのメジャー視察を終えて韓国に帰国したとされるが、どうなるか――。