阪神・金本知憲新監督(47)は2日も高知・安芸キャンプで精力的な動きを見せた。投手陣のブルペン練習を見守った際には突如、打席に立つサプライズを披露。投げていたのは伸び悩み組の二神、歳内で、驚く2人をよそに現役時代と同様に鋭い視線で球筋を見極めた。

 二神、歳内ともに監督相手では緊張気味で制球が定まらない場面も見られたが、香田投手コーチは「ありがたい。投手の励みになる。監督からアドバイスというか、打席で感じたことを伝えてもらった」という。

“世界の鉄人”を“相手”にしての投球練習。これを喜んだのがチーム関係者だ。「ウチには制球力に課題がある選手が何人かいる。監督に下手に当てられないし、アピールするためにも明らかなボール球も投げられない。選手にとっても、いい緊張感で投球練習ができる。監督にはこれを秋だけでなく春のキャンプでも続けてほしい」。別の関係者も「監督には今後もブルペンで打席に立ってもらえないかと思っている。監督が来るだけでブルペンの空気が締まるはずだ」と話した。

 新指揮官は「実際の試合では俺が打席に立つよりももっと(投手には)プレッシャーがかかる。阿部(巨人)とか、山田(ヤクルト)とかね」と謙遜していたが、現役引退からまだ3年。その迫力は衰えていない。鉄人ボディーも健在で少々、球が当たることはあっても平気。周囲に言われるまでもなく、投手陣の底上げに「実験体」としてもひと役買ってくれそうだ。