【日本シリーズ】工藤監督が明かした“山田封じ”の極意

2015年10月29日 16時00分

5回、細川(左)がはじいたワンバウンドのボールがアゴを直撃し痛がる山田

 SMBC日本シリーズ第4戦が28日、神宮球場で行われ、ソフトバンクが6―4でヤクルトを下し、2年連続の日本一に王手をかけた。第3戦ではヤクルト・山田哲人内野手(23)の3連発に苦杯を喫したソフトバンクだが、すぐさま「山田対策」に着手し、1打席目は歩かせたものの4打数無安打と封じ込めることに成功。工藤公康監督(52)が本紙評論家の前田幸長氏に明かしたその中身とは――。

【前田幸長・直球勝負】さすがにダメージが大きいだろうと思った。ソフトバンクが第3戦でヤクルトの山田に3打席連続本塁打を浴びたことだ。1本だけなら気にはならない。「ホームラン王だし、そりゃ打つよね」で流せる。でも、3本は違う。次から投げる投手はびびっちゃう。もしも、僕がその立場なら恐怖感を覚える。しかも、3本目に打たれた千賀は球速150キロを超えるチームでもトップクラスの球威を誇る投手。それがいくら抜けた真っすぐとはいえ、柵越えされたのだからなおさらだ。

「やっぱり、山田への恐怖感は出ますかね?」。試合前、工藤監督に率直に聞いてみると「それはあるね」との答え。ただし、しっかりと手は打った。この日、山田対策の緊急ミーティングを行ったという。その中では山田を抑えた第1、2戦の配球のおさらい。さらには山田を歩かせた場合も想定して、次の打者である畠山の対策も徹底したと聞いた。さらに工藤監督自身も山田封じの秘策をしたためていた。

 工藤監督 あるテレビ番組に山田が出ていたんだよ。そこで打撃では左足を上げるタイミングを重要視している、と話していた。もはや配球だけで抑えられるレベルの選手じゃない。いかにタイミングを外させるかが大事なんだ。

 実は前夜(27日)の試合ですでに伏線も張っていたという。

 工藤監督 昨日(第3戦)の山田の第4打席に五十嵐を登板させたのは彼がクイックが得意だから。試してみたんだよ。クイックはタイミングが外せる。それに差し込まれるから打球が右方向に飛びやすい。引っ張りの打者を引っ張らせないことも重要なんだ。結果は差し込まれて三振に打ち取れたね。

 僕も現役時代にクイックが得意だったからよくわかる。打者は相当差し込まれる。中日時代には巨人の松井秀喜や高橋由伸を相手に投げた。松井にはよく「あのクイックは反則だろう」と言われたね。自分の場合、最初、クイックは真っすぐ。タイミングが合わないから見逃し三振が増える。そのうち「クイックのときは直球」とデータが上がってくるのだろう。だんだんと対応するようになる。そうしたら今度はクイックでの球種をチェンジアップやナックルに変える。するとまた全然合わない。

 この日のソフトバンク投手陣は山田に対して、走者のいない場面でのクイックはなかった。ただあるぞ、と思わせて考えさせることだけでも短期決戦では効果的な策だと思う。この先、ソフトバンク投手陣が山田に打たれることはあるかもしれないが、3打席連発というようなことは絶対にない。

(本紙評論家)