【日本シリーズ第4戦:ソフトバンク6―4ヤクルト(28日、神宮)】一筋の光明か。猛反撃も一歩及ばず王手をかけられたヤクルトだが、敗北の中に好材料もあった。“眠れる大砲”のバレンティンに、ようやく日本シリーズ初安打が飛び出したことだ。

 5点をリードされた4回先頭の第2打席で摂津から左前打を放って長いトンネルをようやく脱出。さらに6回にも右前打を放った。 

 4打数2安打2得点で反撃ムードを演出したバレンティンは「力まずに打つことができた。(2本目の安打は)球種が外の真っすぐだったので、思い切り打ちにいった」。チームが断崖絶壁に追い詰められたことで、さすがに笑顔はなかったものの、内心ホッとしていた部分はあったようだ。それというのも、この日のマルチ安打で自身へのヤジを“完封”できたからである。

 敵地・ヤフオクドームで行われた日本シリーズ第1、2戦で無安打に終わったまま本拠地・神宮球場へと戻り、第3戦でもサッパリ。そんな“空砲”に燕党からのきつい罵詈雑言が浴びせられたという。

「『ヘイ、ココ(バレンティンの愛称)! ゴー・ホーム!』とか『バレンティン! バカ! アホ!』などと言われたりしていた。バレンティンは日本語がある程度分かるからね。相当ショックを受けていたよ」(球団関係者)

 こうした“事件”があったことでバレンティンは発奮。この日の試合後はヤジを浴びせられなかった。とはいえ、バレンティンに求められるのはやはり一発だ。まだまだ完全復調とは言い難いが、第5戦こそチームを窮地から救う大アーチが期待される。