【日本シリーズ第3戦:ヤクルト8-4ソフトバンク(27日、神宮)】ヤクルト・山田哲人内野手(23)が、先制、勝ち越し、逆転と3打席連続本塁打、5打点の大暴れ。山田の大爆発で日本シリーズ初勝利を挙げたヤクルトだが、選手を送り出す首脳陣はワラにもすがる思いだった。

 第3戦を前にコーチの一人は「ホームの利を生かすためできるだけ悪天候になってほしい」と必死に願っていた。本拠地がドーム球場の鷹ナインを、自然の力で封じ込める狙いだ。

 その願いが通じたのか、この日の神宮球場は試合開始時、センター方向へ6メートルの南風が吹く悪天候となった。球団関係者は「これぐらいの風はウチは慣れているけど、向こうは戸惑うはず」と試合前から精神的優位に立っていたのだ。

 杉村チーフ打撃コーチも「スタンドに入るならフライでいい」と大振りを歓迎。それでも山田の3連発は想定外だったようで「やってもうたな。神宮の打ち方を知っている」と舌を巻いた。

 ソフトバンク側にも今宮、明石のソロが飛び出したが、真中監督は「風はウチの方が慣れている。でもあんまり吹きすぎても。適度がいい」。とにかく、この日も負けて3連敗なら14年ぶり日本一は崖っ縁となるところだった。天候も味方につけたヤクルトに、今度は追い風が吹いてきそうだ。