プロ野球のドラフト会議が22日、都内のホテルで開かれた。今年のドラフトで成功した球団はどこか。元ロッテスカウトで本紙評論家の得津高宏がずばり採点した。

「すごいなと思わされたのは、ソフトバンクです。指名した6人はいずれも高校生。とにかく将来を見据えての指名で、選手のタイプも一発のある野手に捕手、投手3人とバランスが取れている。1位の高橋(純平=県岐阜商)はもちろん、2位の小沢(怜史=日大三島)もかなりいい投手だと聞いています。豊富な戦力があるからこその指名なんでしょうが、末恐ろしい気がします」

 次いで評価が高かったのは阪神だ。

「1位の高山(俊=明大)を獲れたのは大きい。即戦力が5人と、若手に一気に切り替えようという狙いがしっかり見えます。2位で捕手(坂本誠志郎=明大)も押さえていますし、上々のドラフトではないでしょうか」

 ロッテと中日、DeNAがそれに続く。

「ロッテは平沢(大河=仙台育英)が獲れたし、投手を6人獲ったのが好印象です。投手はいくらいてもいいと思います。中日は高橋を外しましたが小笠原(慎之介=東海大相模)を獲れた。下位は社会人を並べる安全策で、大化けはどうかという指名内容ですが、小笠原だけでも十分なドラフトではないかと。DeNAは即戦力で固めましたね。方針が一貫していて非常にいい印象です」

 可もなく不可もなく…といった判断となったのは広島、西武だ。

「両球団とも1位を独自路線でいきましたね。競合確実なところにいかないというのは戦略のひとつですが、スカウトとしては“逃げた”ということになります。とはいえ指名した選手が活躍すれば、そんなのは関係ないのですが…」

 同じくC評価としたのは巨人だ。

「野球賭博で投手が足りないというのは分かります。打線が弱いチーム事情なのに、投手4人を指名せざるを得ないというのは仕方ないでしょうね。それでも大学の投手2人(桜井俊貴=立命館大、中川皓太=東海大)は期待できそう。少なくとも4人しか指名しなかった昨年よりはいいドラフトだと思います」

 一方、得津氏が「失敗ドラフト」と見るのは楽天、オリックス、ヤクルト、日本ハムの4球団。

「オリックスの吉田(正尚=青学大)は、1位でいかなければいけない選手だったのかという印象。楽天の野手6人はかなり危険だと思います。ヤクルトは高山を外したのが痛すぎる。日本ハムはくじ引きで負けるのは仕方ないのですが、GMが代わったことでうまくいかなかった部分もあったかもしれません」

 来年の今ごろ、笑っているチームはどこか。

【12球団ドラフト評価】
S=ソフトバンク
A=阪神
B=ロッテ
B=中日
B=DeNA
C=広島
C=西武
C=巨人
D=楽天
D=オリックス
E=ヤクルト
E=日本ハム