巨人の下克上は成功するのか。14日に始まるクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(神宮)でセ覇者・ヤクルトに挑む巨人ナインは13日、東京ドームで軽めの全体練習を行った。CS敗退なら去就問題にも火が付きそうな原辰徳監督(57)がキーマンに指名したのは内海哲也投手(33)。自らの進退を今季2勝のベテラン左腕に託した。

 ファーストステージを突破した前夜は興奮気味だった原監督も、この日はリラックスムード。三塁側ベンチで報道陣に囲まれながら、ファイナルステージへの意気込みを語った。

 1勝のアドバンテージを持つヤクルトの優位は揺るがない。さらに2年連続のCS敗退なら、自身の去就問題にも一気に火が付く。だが、指揮官は余裕すら漂わせ「そういう立場で戦うのも『いと、たのし!』だよ。(ヤクルトに)アドバンテージはあるけど、それがどうした、ってね」と豪快に言い放った。

 その後も話題は多岐にわたったが、投手の起用法に話が及ぶと、原監督は慎重に言葉を選びながら“駆け引き”を開始。練習中の時点でメディアの初戦先発予想は内海が圧倒的だったが、それを聞くと「ふーん、マイコは(候補に)いないの?」とポツリ。先発陣のやりくりについても「(短期決戦の)歴史の中では中1日、中2日、中3日というのはある。わが軍がどうするのかは定かでないけれど」と語り、不敵な笑みを浮かべた。

 阪神とのファーストステージ初戦では、練習中のスタンドに先発マイコラスの“美人妻”ローレンさんが現れたため、誰もが助っ人右腕の先発を確信するという出来事があった。

 この話に指揮官は「なるほど」とうなずき、再びニヤリとして「(ローレンさんに)明日(14日)も来てもらったら向こうは迷うかな?“陽動作戦”ってやつか、フフフ…」と、まさかの“奇襲”をほのめかす場面もあった。

 ただ、原監督の勝負スタイルは「正々堂々」。初戦先発は、やはり内海になるだろう。不振で今季わずか2勝の左腕に、最も重要ともいえる初戦を任せるのはリスクが高いように映る。しかし、ポストシーズンでの起用は早い段階で決断していたという。

 左腕が8月に3度目の二軍落ちした際、指揮官は本人に「どうするんだ?」と問うたという。その上で「あれだけ実績がある投手は、とかく先を見据えがち。だが、彼は弱音を吐かない。『明日から(二軍で)またやります』と答えた。原点を忘れていない。雑草魂を感じた。絶対に戻さないといけないな、と思った」とやりとりを明かして復活への期待の大きさを語った。

 2戦目以降はマイコラス、菅野、ポレダと自慢の3本柱を投入できるだけに、初戦の内海が巨人の命運を左右するキーマンとなる。自らの進退もかけた原監督の決断は、果たして吉と出るか。