今季のヤクルトはリリーフ陣の頑張りも素晴らしかった。特にロマン、オンドルセクから最後は守護神のバーネットにバトンをつなぐ外国人トリオによる「勝利の方程式」が確立されたことは、前年リーグワーストだったチーム防御率(4.62)の改善へと実を結んだ。もちろん秋吉や久古ら若き日本人セットアッパーの奮投も忘れてはいけない。


 伊藤智仁投手コーチに「何か変えたことはあったのか」と聞くと、今年からのチーム新方針としてリリーフ陣がマウンドへ行く時は「ブルペンで肩を作るのは基本的に1回だけにしよう」ということになっていたそうだ。


 多くのチームは試合で先発投手がどういう状態であるかに関係なく、3回以降からリリーフ陣がブルペンで肩を作り始めるのが通例。だが、そうなると実際に試合で投げない投手も有無を言わさずにブルペン投球を行うことになる。3回に1度肩を作ったのに間を置いて、また終盤でもう1度ブルペン投球しなければならないというようなパターンもザラだ。それだけに長いシーズンのことを考えて少しでも登板過多につながらないようにしようというのが、その狙いだ。


 もちろんアクシデントなどの緊急事態で、急なリリーフが必要になる場合もあるが…。そうしたリスクもわかった上で、大きな決断をしたのだと思う。


 結果的に今季ここまでオンドルセクと秋吉が実に70試合以上も登板するなど、リリーフ陣が鉄腕ぶりを発揮できており「登板前のブルペンは基本1回」の効果は確実に出ている。個人的に、このやり方は大賛成だし、しっかり結果を出したことで他球団にとっても参考になるのではないだろうか。