マジック「1」のヤクルトが30日、神宮外苑で全体練習を行った。1日の阪神戦(神宮)、巨人—DeNA戦(横浜)が降雨中止になったため最短の優勝は2日に持ち越されたが、誰よりも闘志を燃やしているのは中村悠平捕手(25)だ。チームの要として1年間、投手陣を引っ張ってきたが、ある隠された思いがあった。

 試合前日となったこの日(30日)、チームは神宮外苑・コブシ球場で約2時間の全体練習を行った。見守った真中満監督(44)は「今までと同じだけど、緊張感はある。やるしかないんで心して頑張ります。早くスッキリしたい」と大一番に向け、言葉に力を込めた。

 ナインの誰もが本拠地最終戦となる阪神戦でのVを願う中、正捕手の中村が本紙に秘めた思いを打ち明けた。

「相川さんがいなくなったことでチームが弱くなった、投手陣が弱くなったとかは絶対に言われたくなかった。その気持ちは昨オフ、相川さんが抜けた時から強く持っていた」

 昨年まで正捕手の座を争っていた相川亮二捕手(39)がFAで巨人に移籍し、今季はここまで133試合に出場。投手陣をけん引し、粘り強いリードでチームをもり立てたが、そこには相川への強烈な対抗心があった。

 当然、正捕手としての自覚も高まった。今季は試合前に早めに球場入りし、対戦相手の映像チェック。同時に配球に関しても、先輩投手陣と突っ込んだ意見交換を行った。

 長いシーズン、悩むこともあった。「連敗中は『何でこうなるんだろう』とか、『投手が思ったところに投げてくれない』とか、正直思ったこともありました」。それでも最終的には捕手としての責務を思い出し、吹っ切れた。「いろいろ思うことはありましたが、最終的には捕手が全部、受け止める責任を持たないといけないと思うようになった」という。

 優勝を決めきれなかった29日の広島戦に関しては「勢いで押し切ろうと思ったけど、そう甘くはなかった」と反省。逆転を許した後の継投に、CS進出がかかった広島の必死さを感じたという。

「一戦必勝の気持ちをもう一度、取り戻したい」と中村。エース・小川とのバッテリーで有終の美を飾れるか。