ヤクルトは28日の中日戦(神宮)に6―2で快勝した。2位の巨人が敗れたため優勝マジックは1となり、29日(広島戦=神宮)にも2001年の若松政権以来14年ぶりのリーグ優勝が決まる。

 一塁側、右翼スタンドを埋めた燕ファンの大歓声に応えながらクラブハウスへ向かう真中満監督(44)はそれでも気を引き締めていた。「本当にうれしいですけど、決まってませんから。明日勝てるように頑張ります」

 優勝が目前となり、チームで話題となっているのが指揮官の優勝スピーチだ。「何といっても今回は真中監督が何を言うのか、ファンはもちろん、球団も注目しています。少しでも監督の“色”が出てほしいね」と球団関係者は期待を込める。

 前回の優勝では若松監督の「ファンの皆様、おめでとうございます!」という、名スピーチが話題を呼んだ。緊張のあまり「ありがとうございました!」というところを言い間違えてしまったのだが、若松監督の持つぼくとつさ、生真面目さがにじみ出たスピーチとして、逆に球史に残る名言となった。

 そして、今回の真中監督だ。スピーチを求める裏には「いかんせん、地味」(球界関係者)といったところも影響している。2年連続最下位だったチームを新任1年目で立て直した手腕が高く評価される一方、監督自身のキャラクターはなかなか見えてこないのも事実だ。

「もともと、お酒好きだから『これで、うまい酒が飲めるぞ!』でも何でもいい。活気のある言葉でチームを盛り上げてほしい」(チーム関係者)。優勝監督として最初の“大仕事”となりそうだ。